柴犬がせっかく用意したベッドにおしっこをかけてしまうと、
「なんでそこにするの…」「もうこのベッドは捨てるしかない?」とガックリきてしまいますよね。
でも、多くの場合それは「ダメな子」だからではなく、犬の本能・生活環境・トイレ習慣の小さなズレが積み重なって起きているだけです。
この記事では、柴犬のベッドのマーキングについて
- なぜベッドにマーキングしてしまうのか(原因)
- ベッドでマーキングさせないための準備と環境づくり
- 今日からできる3ステップの実践方法
- 子犬・シニア・多頭飼いなど、状況別の対処法
- ありがちな失敗とリカバリーの仕方
- よくある質問(Q&A)
までを、叱らなくても実践しやすい形でまとめました。
「柴犬 ベッド マーキング」でお悩みの飼い主さんの、具体的な行動のヒントになればうれしいです。
柴犬がベッドにマーキングする主な理由
まずは「なぜベッドにしたくなるのか?」を知るところからスタートしましょう。
理由を整理すると、対策の方針も見えやすくなります。
本能・縄張り意識によるマーキング
柴犬は日本犬の中でも縄張り意識が強い犬種です。
自分のにおいをつけることで「ここは安心できる自分の場所だよ」と示そうとします。
- 新しいベッドでまだ自分のにおいがしない
- 引っ越し・模様替え・来客などで環境が大きく変わった
- 他の犬が使っていたベッドやマットを使っている
こんなとき、柴犬は不安になりやすく、におい付けとしておしっこをかけてしまうことがあります。
これは「悪さをしてやろう」ではなく、「ここを自分のテリトリーにしたい」という本能的な行動です。
トイレの場所の混同・習慣の未定着
次に多いのが、トイレと寝床の境界があいまいになっているケースです。
- サークルの中でトイレとベッドの距離が近すぎる
- トイレシートのすぐ隣にベッドを置いている
- 子犬・若犬で、まだトイレの習慣が安定していない
犬は基本的に「よくにおいが残っている場所=トイレ」と覚えます。
一度ベッドでしてしまうと、そのにおいで「ここもトイレかも?」と勘違いしてしまうこともあります。
ストレス・不安からくるマーキング
柴犬は繊細な一面も持っているため、ストレスや不安が溜まるとマーキングが増えることがあります。
- 留守番が急に増えた
- 赤ちゃんや新しい家族・ペットが増えた
- 生活リズムが大きく変わった(仕事の時間帯の変化など)
こうした環境変化で不安になった柴犬は、自分のにおいをあちこちに残して、
「ここは自分の安心できる場所」と確認したくなることがあります。その結果、ベッドがターゲットになることも少なくありません。
病気・加齢によるおしっこトラブル
マーキングだと思っていたものが、実は病気や加齢による排泄トラブルだった、というケースもあります。
- 回数が急に増えた・ちょびちょび少量を繰り返す
- 血尿・濁り・強いにおいがある
- 痛そう・つらそうな様子がある
- 高齢になってから、寝ている間にもれてしまう
これらが当てはまる場合は、マーキング対策より先に、必ず動物病院で診察を受けてください。
泌尿器系の病気やホルモンバランスの変化が隠れている場合もあります。
ベッドでマーキングさせないための準備
原因のイメージがついたら、次は「環境」と「道具」を整えていきます。
ベッドだけを変えるよりも、生活環境全体を少しずつ整えるほうが失敗しにくくなります。
今の環境をチェックする
まずは紙とペンを用意して、次のような項目を書き出してみましょう。
- トイレの場所・トイレの回数・排泄のタイミング
- マーキングが起きる時間帯・状況(来客後・留守番後など)
- 現在のベッドの素材・形・サイズ・置き場所
- サークル内や部屋全体のレイアウト(トイレとベッドの距離・動線)
書き出してみると、
- 「考えてみれば、トイレとベッドがほぼ隣だった」
- 「来客のたびに失敗している」
- 「新しいベッドに替えた直後ばかりだ」
など、今まで気づかなかったパターンが見えてくることがよくあります。
用意しておくと安心なグッズ
ベッドのマーキング対策をスムーズにするために、以下のようなアイテムを準備しておくと心強いです。
- サイズに余裕のあるトイレシート・トイレトレー
- 防水シート・ペット用防水マット
- ペット用の安全な消臭・除菌スプレー
- 洗い替え用のベッドカバーやブランケット
- クレートやサークル(「自分の部屋」として使えるもの)
これらを用意しておくと、「もしマーキングしてもすぐリセットできる」環境を作りやすくなります。
柴犬に合うベッドサイズと形の選び方
ベッドサイズが合っていないと、
- 落ち着けず、かえって床で寝てしまう
- 寝返りのたびにトイレゾーンに近づいてしまう
などのズレが起こります。以下を目安に選んでみてください。
- 体長:鼻先からしっぽの付け根まで+10〜20cm
- 体重:ベッドの「耐荷重」を必ず確認
- 寝方:丸くなる子→丸型ベッド/のびのび寝る子→長方形ベッド
また、マーキング対策を考えるなら、
- カバーを外して洗えるもの
- ベッド全体を丸洗いできるもの
- 乾きやすい素材(ポリエステル系など)
といったポイントも重視すると、お手入れの負担がぐっと下がります。
ベッドのマーキング対策3ステップ|今日からできる実践方法
ここからは、実際の流れを「選ぶ → 慣らす → 続ける」の3ステップで具体的に見ていきます。
ステップ1:ベッドを選ぶときのチェックポイント
ベッドを探すときは、デザインよりもまず「もしマーキングされても対処しやすいか」を基準にしてみましょう。
- 洗濯機で洗える・またはカバーのみ洗濯可能
- 中材が取り出せる/乾きやすい
- おしっこがしみにくい防水・撥水仕様
- 噛み癖・ひっかきに耐えられる縫製
口コミを見るときも、
- 「洗濯」「洗いやすい」「乾きやすい」
- 「粗相」「おしっこ」「マーキング」
といったキーワードでレビューをチェックしてみると、
実際に使っている飼い主さんの声が分かりやすいです。
ステップ2:ベッドを慣らすときのコツ
新しいベッドを導入するときは、いきなりポンと置くのではなく、「自分のにおいがする安心できる場所」に育てていくイメージが大切です。
- 普段使っているブランケットやタオルを一緒に置く
- お気に入りのおもちゃやガムをベッドの上に置く
- ベッドに入ったタイミングで、やさしく声をかけてほめる
逆に、慣らし始めのタイミングで、
- 大きな音がする場所の近く
- 人の出入りが激しいドアのすぐそば
- トイレシートのすぐ横
といった場所に置いてしまうと、柴犬が落ち着きにくく、
「ここは安心できる寝場所」という印象がつきにくくなります。
ステップ3:続けながら「見直しポイント」を持つ
ベッドを使い始めたら、次のような「物差し」を持って、定期的にチェックしてみましょう。
- 洗いやすさ:週1〜2回の洗濯が負担なくできるか
- 耐久性:数カ月使っても中綿が偏りにくいか
- 防水・防臭:軽い粗相なら拭き取りと洗濯で対応できるか
- 快適さ:自分からベッドに入り、リラックスしているか
どれか一つでも大きくNGが出るなら、配置換えやベッドの見直しを検討してみましょう。
マーキングが起きてしまったときは、
- 現行犯でなければ叱らない
- 無言で片付け、においをしっかり消す
- 次の排泄が成功したら、その場ですぐたっぷりほめる
この流れを淡々と続けることが、遠回りに見えていちばん近道です。
状況別の困りごとと対処法
同じ「ベッドのマーキング」でも、年齢や生活スタイルによって背景はさまざまです。
ここではよくあるパターン別に、考え方と対処のヒントをまとめます。
子犬・若犬の場合
- まだ膀胱のコントロールが未熟
- 好奇心旺盛で、いろんな場所で試しうちしてしまう
この時期は、「マーキング」というより「トイレの場所の理解がまだ曖昧」であることが多いです。
- トイレの成功体験をとにかく増やす
- 寝起き・食後・遊んだあとにトイレに誘導する
- ベッドとトイレの距離を十分にとる
を意識して、焦らずコツコツ積み重ねていきましょう。
成犬・急にマーキングが増えた場合
今まで問題なかった子が、急にベッドにマーキングし始めた場合は、
- 家族構成の変化(赤ちゃん・新しいペットなど)
- 留守番時間の増加
- 引っ越し・模様替え
などのストレス要因が隠れていることがあります。
- 生活リズムを見直し、「ふれあい時間」を意識して増やす
- 隠れ家になるハウス・クレートを用意する
- 留守番前後に、落ち着ける遊び(知育トイなど)を取り入れる
といった「心の安心」を整える工夫も、マーキング対策に役立ちます。
シニア犬・持病がある場合
高齢になってくると、
- 足腰が弱くなり、トイレまで間に合わない
- 寝ている間にもれてしまう
- 薬の影響で尿の回数が増える
といった変化が出てきます。この場合は、「叱らない」ことが何よりも大切です。
- 獣医師に相談しながら、トイレの位置や回数を調整する
- ベッドの下に防水シートを敷いておく
- 段差の少ないベッドに変えて、移動を楽にする
など、介護の一環として「お互いに無理のない環境」を整えていきましょう。
多頭飼い・他の犬のにおいが気になる場合
他の犬と一緒に暮らしている場合、「自分のスペースだと主張したい」気持ちから、ベッドにマーキングすることがあります。
- それぞれの犬に「専用のベッド」を用意する
- においの混ざりにくい配置にする(少し距離をあけるなど)
- マーキングされた場所は、においが残らないよう丁寧に消臭する
など、「誰のベッドなのか」をはっきりさせる工夫をしてみてください。
よくある失敗パターンとリカバリー方法
ここでは、柴犬のベッドのマーキング対策でやりがちな失敗と、その立て直し方を整理します。
大声で叱ってしまう
戻ってきたときにベッドが濡れているのを見つけると、思わず「こらー!」と言いたくなりますが、
時間が経ってから叱っても、犬には「なぜ怒られたのか」が伝わりません。
- 現行犯以外は叱らず、静かに片付ける
- トイレでできたときはその場ですぐ、オーバーなくらいほめる
この切り替えが、トイレ習慣を整えるうえでもとても大切です。
においが残ったまま片付けてしまう
見た目がきれいになっても、犬の鼻にはしっかりにおいが残っていることが多いです。
- ペット用の消臭・除菌スプレーでしっかり拭き取る
- 洗えるものはすぐに洗濯し、完全に乾かしてから戻す
- マットまでしみている場合は、マットも一緒に洗うか交換する
「見た目」と「におい」の両方をリセットすることが、再発防止のカギです。
いきなり高級ベッドを与えてしまう
かわいい我が子のために、ふかふかの高級ベッドを買ってあげたくなりますが、
トイレがまだ安定していない時期はいったんガマンがおすすめです。
- 最初は洗いやすい・乾きやすいシンプルなベッドにする
- トイレが安定してから、グレードアップしていく
といった順番にすると、飼い主のダメージも減らせます。
トイレとベッドの距離が近すぎる
サークル内レイアウトでよくあるのが、トイレとベッドの距離が近すぎるパターンです。
- 可能な範囲で2〜3m以上離す
- 難しければ、視線が遮られるように仕切りを置く
- 「寝るゾーン」と「トイレゾーン」をはっきり分ける
この工夫だけで、ベッドでの失敗が減るケースも少なくありません。
よくある質問(Q&A)
一度マーキングしてしまったベッドは、もう捨てたほうがいい?
必ずしも捨てる必要はありませんが、
- 何度消臭しても、においが取りきれない
- 洗ってもマットまでしみてしまう
といった場合は、「勘違いの元」を断つために買い替えたほうが楽なこともあります。
まだ使えそうなら、ベッドのカバーだけ買い替える・防水シートを併用するなどの方法も検討してみてください。
去勢・避妊をするとマーキングは減る?
去勢・避妊手術でホルモンに関連したマーキング行動が落ち着くケースはありますが、
すべての犬で完全になくなるわけではありません。
すでに「習慣としてのマーキング」になっている場合は、環境づくり・トイレトレーニング・ストレスケアなども合わせて行うことが大切です。
手術については、必ずかかりつけの獣医師と相談しながら検討してください。
夜だけケージ・サークルに入れても大丈夫?
ケージやサークルは、使い方次第で「安心できる自分の部屋」になります。
夜だけそこで寝かせるのは問題ありませんが、
- 狭すぎて身動きが取れない
- トイレとベッドがくっつきすぎている
といった状態は避けましょう。
ベッドとトイレのスペースを確保しつつ、「ここに入ると落ち着ける」と感じられる環境づくりが理想です。
どれくらい続ければ、マーキングは落ち着いてくる?
個体差が大きいテーマですが、
- 環境とルールを整えて数週間で落ち着く子
- 成長や生活リズムの変化とともに少しずつ減っていく子
などさまざまです。焦って「今日・明日でゼロにしよう」とするよりも、
「観察 → 仮説 → 環境調整」を少しずつ繰り返すイメージで見守ってあげてください。
心配な症状があったり、どうしても改善が見られない場合は、
獣医師やドッグトレーナーなどの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ|「完璧なゼロ」を目指さず、起きても困らない環境づくりを
柴犬のベッドへのマーキングは、
- 本能・縄張り意識
- トイレ習慣の混乱
- ストレスや不安
- 病気・加齢による変化
など、いくつかの要素が重なって起きる行動です。
「完全にやめさせる」だけをゴールにするよりも、
- 起きにくい環境づくり(ベッド選び・配置・トイレ環境)
- 起きてもすぐリセットできる仕組み(洗いやすさ・防水・消臭)
を両輪で整えることで、飼い主と柴犬、どちらのストレスもぐっと減らせます。
叱るよりも、
- 成功したトイレ行動をその場ですぐほめる
- においを残さないよう丁寧に片付ける
- 落ち着いて眠れるベッド環境を用意する
といった前向きなアプローチが、柴犬の心にもやさしく、長い目で見たときに効果的です。
マーキングは、成長や環境の変化とともに落ち着いてくることも多い行動です。
焦らずに、あなたの柴犬の様子をよく観察しながら、「この子にとっていちばん安心できる寝床」を少しずつ整えていきましょう。
「どうしても不安」「これは病気かも?」と感じたときは、
ためらわずに動物病院や専門家に相談してくださいね。



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