柴犬がベッドにおしっこする本当の理由とやめさせ方|マーキング対策完全ガイド

柴犬のベッドのマーキング治し方の基礎と活用ポイントに合わせたアイキャッチ。柴犬とベッド・マットの利用シーンを表現。 要点:柴犬がベッドにマーキングしてしまうのは 🐶 わんこのこと

「またベッドにおしっこされてる…」「毎回カバーを洗うのがつらい」と、柴犬のベッドへのマーキングに悩んでいませんか?
しかも、怒っても効かないどころか、余計にコソコソ隠れてするようになってしまうこともあります。

じつは、柴犬のベッドへのマーキングは「わがまま」でも「しつけの失敗」でもなく、犬の本能・生活環境・感情(不安やストレス・自信のなさ)が複雑に絡み合って起きている行動です。

この記事では、

  • なぜ柴犬はベッドにマーキングしてしまうのか
  • 叱る前に整えたい「環境」と「道具」
  • 今日からできる具体的な3ステップの治し方
  • よくあるケース別の対処法
  • 逆効果になりやすいNG行動

までを、初めての方でも実践しやすい順番でていねいに解説します。
「ベッド=安心して眠れる場所」「トイレ=ここ」と、柴犬が自然と理解できるようになることを目標に、一緒に整えていきましょう。


柴犬がベッドにマーキングしてしまう主な理由

まずは「なぜベッドなのか?」という根っこを知ることが、遠回りなようで一番の近道です。大きく分けると、次の4つの要素が絡んでいることが多いです。

  • ニオイによる“縄張りアピール”としてのマーキング
  • トイレの場所・ルールがあいまいなまま覚えてしまった
  • ストレスや不安・環境変化への反応
  • 病気や加齢による「ガマンできなさ」「失禁」

マーキングとトイレの失敗は別物

同じ「おしっこ」でも、マーキングと単純なトイレ失敗は行動の意味が違うため、治し方も少し変わります。

  • マーキング寄りのとき
    少量を何度もかける/片足を上げる/家具の側面や柱、ベッドの縁に少しずつかける
  • トイレ失敗寄りのとき
    一度にたっぷり出る/トイレ以外の場所でも失敗が多い/トイレまで間に合わない様子がある

柴犬は日本犬らしく縄張り意識が強く、「これは自分の大事な場所だ」と感じたところに自分のニオイを重ねたくなる傾向があります。その代表が飼い主のニオイが濃くついたベッドや布団です。

ストレス・不安・環境変化が引き金になることも

次のようなタイミングで急にベッドへのマーキングが増えることもあります。

  • 引っ越し・模様替えをした
  • 赤ちゃんや新しいペットが家族に増えた
  • 来客が続いて生活リズムが崩れた
  • 留守番時間が急に長くなった

「ここはボクの場所」「ここは安全だよ」と、自分のニオイで上書きして安心しようとする行動が、ベッドへのマーキングとして現れるケースも少なくありません。

病気が隠れていることもあるので要チェック

特に、次のようなサインがある場合はしつけより先に動物病院での相談が優先です。

  • 急に粗相の回数が増えた・頻尿になった
  • 一度に大量に失禁してしまうことがある
  • 尿の色が濃い/赤い/濁っていると感じる
  • いつもより極端に水を飲む量が増えた・減った
  • 元気や食欲が落ちている、元気はあるのにやたらと失敗する

膀胱炎やホルモン異常、腎臓のトラブルなどが原因のこともあります。
健康面に問題がないかを確認してから、安心して行動面の対策に集中できるようにしてあげましょう。


対策前に整えたい「土台」:環境と道具の準備

いきなりベッドから引きはがしたり、怒ってやめさせようとするよりも、先に環境と道具を整えるほうが、結果的に早く改善します。

特に重要なのは次の2つです。

  • ニオイを残さない徹底洗浄
  • ベッドとトイレの配置・使い方の見直し

準備しておくとラクになるアイテム一覧

準備するもの 役割 選ぶときのポイント
ペット用消臭・洗浄剤 尿のニオイを根本から分解 香りでごまかすタイプより、酵素系・バイオ系など尿成分を分解するタイプを選ぶ
洗えるベッド(カバー&中材) 再発時もすぐ洗えて衛生的 中材まで丸洗いできるか/乾きやすいか/替えカバーが売っているか
防水マット・防水シーツ 万が一のときの床・布団の保護 ベッドより一回り大きめサイズを選び、洗濯機で洗えるものだと便利
トイレトレー・トイレシーツ 「ここがトイレ」と視覚的に分かりやすくする ベッドから十分離して置けるサイズ・形か確認する
クレート・サークル 寝床とトイレのゾーニング 「寝床=汚さない場所」という本能を活かして教えやすくする
健康チェック用メモ 病気やストレスの可能性を整理 排泄の時間・量・色、水を飲む量、いつマーキングするかを簡単に記録

特にニオイ対策は、柴犬のマーキングをやめさせるうえで非常に重要です。
人間には「もう取れた」と感じても、柴犬の嗅覚にはまだはっきりと尿のニオイが残っていることがよくあります。

何度もマーキングされているベッドや布団は、中材までしみ込んでしまっている場合も多く、その場合は

  • できるだけ早く洗浄してしっかり乾かす
  • どうしてもニオイが取れないなら思い切って買い替えを検討する

ほうが、結果として早く改善するケースも少なくありません。


ベッドへのマーキングを減らす3つのステップ

ここからは、具体的な治し方の流れを3つのステップに分けて解説します。

  1. 原因を探す
  2. 対策を選ぶ
  3. ルールを決めて継続する

「一気に完璧を目指す」のではなく、1〜2週間ごとに少しずつ軌道修正しながら続けるイメージで取り組むのがおすすめです。

原因を探すステップ:1〜2週間の観察とメモ

まずは、いつ・どこで・どんな様子でマーキングしているかを観察し、1〜2週間メモします。スマホのメモアプリやカレンダーで十分です。

メモしておきたいポイントの例:

  • 時間帯(朝/昼/夜/留守番中など)
  • 直前の出来事(散歩から帰った直後、来客のあと、掃除機をかけたあとなど)
  • 量(少量をちょこちょこ/一度にたっぷり)
  • 姿勢(足を上げているか、しゃがみこんでいるか)
  • 他の場所へのマーキングの有無
  • 新しい家族・ペット・引っ越し・模様替えなど、最近の変化

あとから見返すと、「そういえばこのタイミングから増えたかも」「ベッドだけじゃなくソファにもしている」など、気づきやすくなります。

対策を選ぶステップ:原因別の優先順位づけ

観察メモをもとに、

  • トイレ環境・トイレトレーニングの問題がメインなのか
  • ストレスや不安・留守番の変化が大きそうか
  • 縄張り意識・性ホルモンの影響が強そうか
  • 年齢や体調の変化が関係していそうか

をざっくりと分類してみます。

必要であれば、メモを持ってかかりつけの動物病院やドッグトレーナーに相談し、治し方の方向性を一緒に決めていきます。その際に役立つ情報は次のとおりです。

  • マーキングの頻度と時間帯
  • 量(いつも少量か、多いときがあるか)
  • 同時に気になる行動(吠え・破壊行動・食欲の変化など)
  • 去勢・避妊の有無とその時期
  • 年齢・持病の有無

ルールを決めて実行するステップ:家族全員でパターンを固定

原因の方向性が見えてきたら、家庭内のルールをシンプルに決めて、家族全員で同じように続ける段階に入ります。

最低限そろえたいルールの例:

  1. ベッドとトイレの位置関係を決め、頻繁に変えない
  2. サークルやクレートの使い方を家族間で統一する
  3. 散歩・ごはん・遊びの時間帯をなるべく固定する
  4. トイレ成功時の「ほめ方・ごほうびの与え方」をそろえる

環境調整のコツ:ベッドとトイレの距離をしっかり分ける

ベッドとトイレが近すぎると、犬にとっては「どこまでが寝床でどこからがトイレなのか」があいまいになり、ベッドへのマーキングが続きやすくなります。

  • 可能ならベッドとトイレは別の部屋へ
  • 同じ部屋しか使えない場合は、棚やパーテーションで視界を分ける
  • ベッド周りに防水マットを敷きつつ、「トイレエリア」と「休むエリア」を目で見て分ける

正しい排泄を強化する:成功直後に静かにほめる

トイレで排泄できた瞬間に、その場ですぐにほめることが何より大切です。数秒ずれてしまうだけで、「何をほめられたのか」が伝わりにくくなります。

おすすめの強化方法:

  • 排泄が終わったらその場でおやつを1粒
  • 落ち着いた声で「いい子だね」「上手にできたね」と声をかける
  • トイレ成功後に散歩や遊びに行くなど、“いいこと”とセットにする

失敗を責めるより、成功を増やして強化するほうが、最終的には早く確実に身につきます。

ベッドの役割を再学習させる:寝る・落ち着く場所だけにする

ベッドを「遊び場」「おやつの場所」「プロレスの舞台」としても使っていると、柴犬にとっての役割がぼやけやすくなります。
マーキング対策中は、できるだけ

  • ベッドでは激しく遊ばない
  • おやつタイムはベッド以外の場所で
  • 本当に眠るとき・静かに休むときだけベッドを使う

という使い方に絞り、ベッド=落ち着く場所・安全な寝床というイメージを積み重ねていきます。

ベッドでリラックスしているときにそっと撫でてあげる・静かにそばにいてあげるだけでも、「ここにいると安心できる」という気持ちが少しずつ育っていきます。

1日の流れの具体例(マーキング対策中)

  • 朝:飼い主が起きたらすぐトイレへ誘導 → 成功したらほめる
  • トイレ成功後に散歩 → 帰宅して朝ごはん、というパターンを固定
  • 日中:ベッドではなく、マットやクレートで休ませる
  • 夕方〜夜:遊びや散歩の前後にトイレへ誘導、成功時にごほうび
  • 就寝前:必ずトイレに連れて行き、排泄してからベッドへ

このように「トイレ → 楽しいこと」「トイレ → 休む」というパターンを毎日同じように繰り返すことで、柴犬にとっての生活リズムとルールが分かりやすくなります。


ケース別:柴犬のベッドマーキングでよくあるシーンと対処法

ここからは、飼い主さんからよく相談される「あるあるケース」と、そのときの考え方・対処のポイントを紹介します。

留守番中だけベッドにおしっこしてしまう

留守番中にだけマーキングが増える場合は、不安・退屈・環境変化によるストレスが関係していることが多いです。

対処のポイント:

  • 留守番前にしっかりトイレと散歩を済ませておく
  • ベッドとトイレの位置を分けたうえで、留守番中はサークル・クレートで過ごさせる
  • 静かなBGMや心地よいニオイのブランケットなど、「安心材料」をプラスする
  • 留守番時間をいきなり長くせず、少しずつ延ばして慣らす

夜中だけベッドでしてしまう

夜中だけベッドでおしっこしてしまう場合は、

  • 寝る前に十分トイレを済ませきれていない
  • 夜間の寒さ・暑さ・物音にびっくりして起きたついでにしてしまう
  • シニア期で我慢が効きにくくなってきた

といった理由が重なっているかもしれません。

対処のポイント:

  • 就寝の1〜2時間前に一度トイレへ、その後ベッドに上がる直前にもトイレへ誘導する
  • 夜間の室温や寝床の高さ(上り下りがつらくないか)を見直す
  • シニア期なら、夜間はトイレに行きやすい位置にベッドを移動することも検討

多頭飼いで片方だけがベッドにマーキングする

多頭飼いの場合、一方の犬だけがベッドにマーキングするのは、縄張り意識や自信のなさ、立場に関する不安が関係していることがあります。

対処のポイント:

  • ベッドを頭数分用意し、それぞれの「安心スペース」を確保する
  • ごはんやごほうびを奪い合わないよう、与える位置を分ける
  • マーキングが多い子のほうに、飼い主との落ち着いたスキンシップ時間を意識的に増やす
  • ケンカや緊張が多い場合は、プロのトレーナーに相談も検討

NG行動と失敗パターン:やりがちだけど逆効果なこと

がんばっているのにうまくいかないときは、無意識のうちに逆効果な対応をしてしまっていることもあります。ありがちなパターンをあらかじめ知っておくと、ムダな遠回りを減らせます。

現行犯以外で叱ってしまう

時間がたってから汚れを見つけて叱っても、柴犬には「さっきのおしっこが悪かった」とは伝わりません。

多くの場合、

  • 「ベッドに近づくと怒られる」
  • 「飼い主が帰ってくると怒られる」

と勘違いしてしまい、隠れて排泄する・飼い主の前で排泄しなくなるなど、かえって状況が悪化してしまいます。

どうしても声をかけるなら、現行犯の瞬間だけにし、「あっ」と短く声をかけて静かにトイレへ誘導する程度にとどめましょう。怒鳴る・叩くなどの罰は逆効果です。

ニオイを残したまま使い続ける

人間の鼻では分からなくても、柴犬には尿のニオイがはっきり残っていることがほとんどです。

ニオイが残っている場所は、犬にとっては「ここはトイレにしてよい場所」というサインになり、何度も上書き学習されてしまいます。

  • ベッドや布団にマーキングされたら、できるだけ早く洗浄する
  • 酵素系の洗浄剤を使い、しっかり乾かす
  • どうしても取れない場合は、思い切って買い替えも検討する

対策をすぐに変えてしまう

数日試して変化がないからと、次々に方法を変えてしまうと、柴犬は「何を求められているか」が分からなくなります。
しつけは「一貫性」と「継続」が命です。

新しいルールや環境を試すときは、最低2〜3週間は同じ方針で続けるつもりで取り組みましょう。そのうえで、

  • まったく変化がないのか
  • ゆっくりでも失敗の回数が減ってきているのか

を見て、必要なら専門家に相談しながら微調整していきます。

ストレス要因を見落としてしまう

来客が増えた、近所で工事が始まった、家族が増えた、留守番時間が長くなった…。
こうした変化が、柴犬にとって大きなストレスや不安になっていることもあります。

マーキング対策だけに集中しても改善が乏しいときは、

  • 最近の生活リズムや環境に大きな変化がなかったか
  • 柴犬が安心して休める静かな時間・場所は十分あるか

を改めて振り返ってみてください。
散歩の質を上げる・一緒にのんびり過ごす時間を増やすなど、心のケアを意識することでマーキングが落ち着くケースもあります。

健康チェックを後回しにする

特に高齢の柴犬や、急に粗相が増えた場合は、泌尿器や内分泌の病気が隠れていることも珍しくありません。
しつけの工夫だけでは改善しないケースもあるため、

  • 年齢が高い
  • 急激な変化がある
  • その他の体調不良が気になる

といった条件が当てはまる場合は、早めに動物病院で相談したほうが安心です。


まとめ:叱るより「環境と習慣」を整えるのが近道

柴犬のベッドへのマーキングは、本能・環境・感情・健康が絡み合った行動です。
「またやった!」と感情的に叱るよりも、

  • なぜ今ここにしてしまうのかを観察する
  • ニオイ・ベッド・トイレの環境を整える
  • 成功したときに静かにほめて強化していく

という順番で整えていくことが、最終的にはいちばんの近道になります。

この記事のポイントをおさらいすると…

  • マーキングは「わがまま」ではなく、ニオイによるコミュニケーション
  • ベッドは飼い主のニオイが濃くつき、マーキングの対象になりやすい
  • トイレトレーニングの未完成・ストレス・不安・病気などが隠れていることもある
  • ニオイの徹底除去と、ベッド&トイレ配置の見直しが土台になる
  • 原因を観察 → 対策を選ぶ → ルールを決めて継続、の3ステップで進める
  • 現行犯以外で叱る・ニオイを残す・対策をすぐ変えるのはNG

柴犬が「ここは安心して眠れる場所」「トイレはこっち」と分かってくれば、ベッドへのマーキングは少しずつ減っていきます。
焦らず、飼い主さんと柴犬のペースで一歩ずつ整えていきましょう。

※本記事の内容は一般的な行動学・しつけの考え方にもとづいた解説です。
具体的な診断・治療・手術・薬の選択などは、必ずかかりつけの動物病院や専門家の指示に従ってください。

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