「また今夜も泣いている…」「かわいそうだけど、こっちも眠れない…」
柴犬がベッドで夜泣きすると、かわいそうな気持ちとイライラが同時に押し寄せてきますよね。
つい「わがままなのかな?」「しつけに失敗した?」と自分を責めてしまう方も少なくありません。
ですが、多くの柴犬の夜泣きは、性格の問題ではなく「不安・体調・環境・習慣」のズレから起きています。
この記事では、柴犬ならではの気質をふまえながら、ベッド周りの整え方と、今日からできる夜泣き対策を、できるだけ具体的にまとめました。
この記事を読むと、次のようなことが分かります。
- 柴犬がベッドで夜泣きする本当に多い理由
- 年齢別(子犬・成犬・シニア)に見た夜泣きの考え方とチェックポイント
- ベッド選び・置き場所・部屋づくりなど環境面でできる工夫
- 1日の流れで考える「夜泣きしにくい生活リズム」の作り方
- ついやってしまいがちなNG対応と、そこからの立て直し方
- 「様子見」で終わらせず、病院や専門家に相談すべきサイン
「一晩でゼロにする魔法の方法」はありませんが、小さな工夫の積み重ねで、泣く回数や時間を少しずつ減らすことは十分に可能です。
愛犬と飼い主さん、どちらにとっても無理のない形で、静かな夜を取り戻していきましょう。
※本記事は一般的な情報をまとめたものであり、実際の診断・治療・トレーニングはかかりつけの動物病院・専門家の指示を優先してください。
柴犬がベッドで夜泣きしやすい理由と、よくあるパターン
まずは「なぜうちの柴犬はベッドで夜泣きしているのか?」という全体像を整理しておきましょう。
柴犬は、
- 警戒心が強い
- 自立心が高い反面、家族への依存度も高い
- 環境変化や生活リズムの乱れに敏感
といった特徴を持つ犬種です。
そのため、ベッド周りのちょっとした変化や、飼い主との距離感の変化が、夜泣きとして表れやすい傾向があります。
子犬に多い夜泣きのパターン
- 迎えたばかりで、家そのものにまだ慣れていない
- ひとりで寝る経験が少なく、急な「ひとり寝」に不安を感じている
- 排泄リズムが安定しておらず、夜中にトイレに行きたくなる
子犬期の夜泣きは、「怖い」「さみしい」「どうしたらいいか分からない」という気持ちが強いことがほとんどです。
「わがまま」ではなく、環境変化へのストレスと経験不足と捉えてあげると、対応の仕方が自然と優しく変わってきます。
成犬に多い夜泣きのパターン
- 日中の運動・遊びが足りず、夜になっても頭と体がまだ元気
- 飼い主と離れるのが不安で、分離不安気味になっている
- 引っ越し・家族構成の変化・ベッドの位置替えなど、生活環境の変化があった
- 外の物音や光に敏感で、警戒モードになりやすい
成犬の夜泣きでは、「習慣として身についてしまった夜泣き」もよくあります。
「泣く→飼い主が来てくれる」という流れが続いた結果、夜泣きがコミュニケーション手段として定着してしまうこともあります。
シニア犬に多い夜泣きのパターン
- 関節の痛み・腰痛などで、長時間同じ姿勢で寝ていられない
- 視力・聴力の低下で、夜になると不安が強くなる
- 認知機能の変化で「昼夜逆転」気味になり、夜に活動的になる
- トイレの間隔が短くなり、夜中に何度も起きたくなる
シニア犬の夜泣きは、体調や加齢による変化が大きく関係していることが多いです。
まずは動物病院でのチェックを優先し、「しつけの問題」と決めつけないことがとても大切です。
夜泣き対策の前に整えたいベッド環境チェックリスト
夜泣き対策というと「しつけ」や「我慢」が真っ先に思い浮かびますが、実はベッド周りの環境づくりが半分以上を占めるといっても過言ではありません。
柴犬に合ったベッドの選び方
- サイズ:丸まっても伸びても、身体がはみ出さない程度の余裕がある
- 形:囲いのあるドーナツ型・ボックス型は「巣」のような安心感を得やすい
- 素材:程よいクッション性があり、通気性と保温性のバランスが良いもの
- お手入れ:カバーが外せて丸洗いできるか(ニオイ・清潔さは安心感に直結)
柴犬は被毛がしっかりしているため、フワフワしすぎるベッドより、少ししっかりした寝心地を好む子も多いです。
床からの冷気・暑さをカバーできるマットやラグを併用するのもおすすめです。
ベッドの置き場所のポイント
- エアコンや扇風機の風が直接当たらない場所
- 人の出入りが激しすぎず、適度に家族の気配が感じられる位置
- 窓際で外の物音・光が気になりにくい場所
- トイレへの導線が分かりやすい配置(暗くても迷いにくい)
「家族から完全に離れた静かな部屋」のほうが落ち着く子もいれば、
「家族のそばで、寝息が聞こえているほうが安心する」子もいます。
今の置き場所が本当にその子のタイプに合っているか、一度見直してみましょう。
安心感を高めるプラスアイテム
- 飼い主のにおいがついたタオル・Tシャツ
- 普段から使っているブランケットやお気に入りの布
- 軽く目隠しできるクレートやサークル
- ほんのり明るい常夜灯や、弱めの環境音(ラジオ・ホワイトノイズなど)
「真っ暗・無音」の空間がむしろ不安をあおるケースもあります。
柴犬の様子を見ながら、少し光や音を残したほうが落ち着くかどうかも試してみてください。
年齢別・性格別に見る夜泣き対策の具体例
次に、年齢や性格によって、夜泣き対策の考え方を少し細かく見ていきます。
子犬向け:ゆっくり慣らす「ひとり寝の練習」
子犬の場合は、「いきなり完璧を目指さず、段階的にひとり寝に慣れてもらう」ことが大切です。
- 迎えた直後の数日は、ベッドを飼い主の寝室の近くに置く
- 寝る前にトイレ・水のチェック、軽めの遊びやスキンシップで安心感を与える
- 寂しがって鳴いても、すぐには抱っこせず、まずは声かけや軽いタッチで様子を見る
- 数日〜数週間かけて、ベッドの位置を少しずつ「本来の寝場所」へ移動していく
「初日から、真っ暗な別室で完全にひとり」は、子犬にとってかなりハードルが高い環境です。
飼い主側も、「最初の1〜2週間はある程度の夜泣きがあるもの」と心づもりをしておくと、気持ちが楽になります。
成犬向け:生活リズムと分離不安のケア
成犬の夜泣き対策では、次の2点を意識してみましょう。
- 日中の運動・遊び量を見直す(散歩の質・時間、頭を使う遊びの有無)
- 「ひとり時間」を少しずつ増やして、離れても必ず戻ってくる経験を積ませる
飼い主が在宅している時間が長いと、いつも一緒にいることが当たり前になり、
ちょっとした留守番や就寝時の距離が大きなストレスになってしまうこともあります。
日中から、
- 別の部屋で短時間だけひとりで過ごしてもらう
- 戻ってきたときにさりげなく声をかける(大騒ぎしない)
といった小さな練習を積み重ねることで、「離れてもまた会える」という感覚を育てていきましょう。
シニア犬向け:体の負担を減らし、不安をやわらげる
シニア犬の夜泣きでは、まず動物病院での健康チェックが最優先です。
そのうえで、次のようなポイントを意識してみましょう。
- 段差を減らし、ベッドの出入りをしやすくする(スロープや低めのベッド)
- 硬さの違うマットを重ねて、関節への負担を減らす
- 夜間のトイレの際に足元が滑らないよう、マットやカーペットを敷く
- 視力・聴力の低下をふまえ、常夜灯や生活音で過度な不安を減らす
シニア犬は、「昨日まで大丈夫だったこと」が急に負担になることがあります。
月単位ではなく、週単位・日単位でマメに様子を見てあげることが、夜泣きの軽減にもつながります。
1日の流れで考える「夜泣きしにくい」暮らし方
夜泣きは夜の問題に見えますが、実は朝からの過ごし方がそのまま夜の眠りに影響します。
ここでは、1日の流れをざっくりとイメージしながら、見直したいポイントを整理します。
朝〜昼:エネルギーを上手に使う時間
- 朝の散歩で軽い運動+ニオイ嗅ぎで脳の刺激を
- 短いトレーニング(おすわり・まて・ターンなど)で頭を使ってもらう
- 留守番の前に、コングや知育トイなど「ひとり遊び」できるアイテムを活用
「ただ歩くだけ」で散歩を終わらせるのではなく、におい探し・トリックの練習などで頭も一緒に疲れさせることがポイントです。
夕方〜夜:静かな眠りにつなげる準備タイム
- 寝る2〜3時間前までに、メインの散歩や運動を済ませる
- 就寝の1時間前からは、興奮しすぎる遊び(激しい引っ張りっこなど)を控える
- 寝る前に必ずトイレ・水・室温をチェックする
- 軽いマッサージや落ち着いたスキンシップで「もう寝る時間だよ」と予告する
人間と同じように、「寝る前のルーティン」を毎日ほぼ同じ流れで続けると、体も心も眠りモードに入りやすくなります。
夜中に泣き出したときの、上手な付き合い方
どれだけ準備をしても、ときには夜中に泣いてしまう日もあります。
そんなとき、飼い主としてどう対応するのが良いのでしょうか。
まず確認したいこと
- 急な体調不良がないか(呼吸・歩き方・ぐったりしていないか)
- トイレに行きたそうにしていないか
- 部屋が暑すぎ・寒すぎになっていないか
- 外の物音や光など、明らかな刺激がないか
これらに問題がなさそうで、普段と同じような夜泣きであれば、
「必要最低限の対応だけを静かに行い、そのまままた寝てもらう」ことを意識しましょう。
やりがちなNG対応
- 毎回すぐに抱っこしてリビングへ連れて行く
- おやつをあげて黙らせる
- 長時間の遊びや興奮する声かけで「イベント化」してしまう
- 逆に、大声で叱る・ケージを叩くなど、恐怖を与える対応をする
このような対応は、「泣くと特別なことが起こる」と学習させてしまう原因になります。
また、怖がらせてしまうと、ベッドやクレートそのものが「怖い場所」になってしまい、
さらに夜泣きが悪化することもあります。
対応の基本ルール
- まずは数分だけ様子を見て、自然に落ち着くかを確認する
- トイレや体調に不安があれば、淡々と用件だけ済ませる
- 落ち着いているタイミングで、静かに優しく褒める
- 家族全員が同じ対応ルールを守る
大事なのは、「泣いていないとき」「落ち着いているとき」に安心感とごほうびを用意することです。
そうすることで、柴犬は少しずつ「静かにしているほうが気持ちいい」と学習していきます。
よくある失敗パターンと、そこからの立て直し方
夜泣きが長引いてしまうご家庭には、共通するパターンがあります。
ここでは、ありがちな失敗と、そのリカバリー方法をセットでまとめました。
対応が日によってバラバラになってしまう
ありがちな状況
- ある日は無視、ある日は抱っこ、ある日は叱る…と、家族ごとに対応が違う
- 「昨日はつらくて抱っこしてしまった」「今日は我慢できた」など、飼い主のコンディションに左右される
立て直し方
- 「夜中の対応ルール」を紙に書き出し、家族全員で共有する
- 続ける期間をあらかじめ決める(例:まずは2週間この方針でやる)
- うまくいかなかった日は、自分を責めるより「次回どう変えるか」をメモする
「性格の問題」と決めつけてしまう
ありがちな状況
- 「この子は神経質だから」「柴犬だから仕方ない」とあきらめてしまう
- 痛みや病気のサインを「わがまま」と勘違いして見落とす
立て直し方
- 急に夜泣きの頻度・声の質が変わったら、まず動物病院でチェック
- 行動の変化を、日記やメモアプリで簡単に記録しておく
- 必要に応じて、トレーナーや行動診療科など専門家への相談も検討する
完璧を目指しすぎて、飼い主が疲れ切ってしまう
ありがちな状況
- 「今日中に絶対泣かせない」と力が入りすぎる
- 寝不足が続き、イライラしてしまい、愛犬にも優しくできない
立て直し方
- 「夜泣きゼロ」を目標にするのではなく、「今より少し楽になる」ことを目指す
- 家族で当番制を作るなど、飼い主側の睡眠も確保する工夫をする
- つらさをひとりで抱え込まず、家族や友人・コミュニティに相談する
病院や専門家に相談すべきサイン
次のような場合は、「しつけ」より先に、動物病院や専門家への相談を優先しましょう。
- 夜泣きが急に激しくなった、声の質が明らかに変わった
- 呼吸が荒い、ぐったりしている、ふらつきがある
- 体を触ると強く嫌がる部位がある
- 日中も落ち着きがなく、常に不安そうに歩き回っている
- シニア期に入り、昼夜問わず鳴き続ける時間が長くなってきた
こうした変化は、痛み・病気・認知機能の変化などが背景にあることも少なくありません。
「そのうち慣れるだろう」と様子見を続けるより、早めにプロの目でチェックしてもらうほうが、結果的に愛犬の負担も減らせます。
まとめ:小さな工夫の積み重ねで、柴犬と静かな夜を取り戻す
柴犬のベッドでの夜泣きは、
- 不安・体調・環境・習慣が絡み合って起こることが多い
- 「わがまま」ではなく、助けを求めるサインであることも多い
- ベッド環境・生活リズム・対応の一貫性を見直すことで、少しずつ改善していく
完璧な対策を一気にやろうとすると、飼い主も愛犬も疲れてしまいます。
まずは、次のような「今日からできる小さな一歩」から始めてみてください。
- 寝る前のトイレと室温チェックを、毎日のルーティンにする
- ベッド周りの置き場所や光・音環境を見直してみる
- 夜だけでなく、日中から「ひとり時間」の練習を少しずつ取り入れる
- 夜泣きに悩んでいる自分自身にも、「よく頑張ってるね」と優しく声をかける
柴犬は、時間をかけて関係性を育んでいくタイプのパートナーです。
焦らず、怒らず、少しずつ。
毎日の小さな工夫が、やがて「静かで安心できる夜」という大きな変化につながっていきますように。
※本記事の内容は一般的な情報であり、すべての柴犬に当てはまるわけではありません。
気になる症状や不安がある場合は、必ずかかりつけの動物病院や専門家にご相談ください。



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