「また今夜もワンワン…」「ベッドに寝かせると必ず夜泣きが始まる…」
そんな夜が続くと、愛犬のことは大好きなのに、思わずため息が出てしまいますよね。
ただ、多くの飼い主さんが「わがまま」だと思ってしまう夜泣きは、実は
不安・環境・習慣が絡み合って起きていることがほとんどです。
この記事では、柴犬の夜泣きをテーマに、
ベッド環境の整え方から、実際の対応の仕方・よくある失敗・月齢別のポイントまで、
一気に整理して解説します。
「読むだけで終わり」ではなく、今夜から試せるチェックリストと具体的な声かけ・行動例も入れているので、
気になるところから取り入れてみてください。
柴犬がベッドで夜泣きする主な原因
まずは、夜泣きを「性格」や「甘え」の一言で片付けてしまわず、
なぜ泣いているのかの仮説を立てるところから始めましょう。
柴犬の夜泣きは、大きく次の4つの観点から考えると整理しやすくなります。
- 健康面:痛み・かゆみ・トイレ・体調不良が隠れていないか
- 環境面:ベッドの場所・温度・明るさ・音・においが合っているか
- 心理面:分離不安・怖い経験・日中のストレスが影響していないか
- 学習面:「泣くと構ってもらえる」などの成功体験が積み重なっていないか
一つの理由だけでなく、いくつかが同時に重なっていることも多いです。
それぞれの特徴を、もう少し具体的に見ていきます。
健康面のサインを見逃さない
まず最優先でチェックしたいのが健康状態です。次のような様子があれば、
夜泣き=「体のサイン」の可能性があります。
- いつも同じ場所を舐め続けている
- 震えたり、落ち着かずウロウロしている
- 下痢や頻尿・血尿・嘔吐などがある
- 触れると痛そうにしたり、怒りっぽくなっている
これらが当てはまる場合は、しつけで我慢させる方向に進む前に、まず動物病院で相談しましょう。
夜だけでなく日中も様子がおかしいなら、迷わず診察を受けておくと安心です。
環境が合わずに眠れないケース
柴犬は、日本犬らしく環境の変化に敏感です。
特に次のような変化があった直後は、ベッドでの夜泣きが増えやすくなります。
- ベッドや寝床を新しくした・場所を変えた
- 引っ越し・模様替えなどで、部屋のレイアウトが大きく変わった
- 赤ちゃんの誕生や同居家族の増減など、家族構成の変化があった
- エアコンの設定温度や寝室の明るさを変えた
人にとっては「少し変えただけ」でも、柴犬にとっては大事件。
このあと紹介するベッド環境のチェックポイントと合わせて見直してみましょう。
心理面(不安・寂しさ・怖い経験)からくる夜泣き
子犬〜若犬期の柴犬は、まだ生活リズムが安定しておらず、分離不安になりやすい時期です。
特に、次のような状況が重なると、夜泣きが目立つことがあります。
- 迎え入れてから日が浅く、家や家族に完全には慣れていない
- 日中の留守番時間が長く、夜に一気に甘えたい
- 雷・花火・インターホンなど、怖い音の記憶が残っている
単に甘えているように見えても、「ひとりで寝るのが本気で怖い」という場合も少なくありません。
叱る前に、「この子にとって夜はどんな気持ちの時間なんだろう?」と想像してみることが大切です。
学習面:泣けば構ってもらえる成功体験
もう一つ、見落としがちなポイントが学習です。
寂しさや不安がスタートでも、
「泣くと家族が来てくれる」「ケージから出してもらえる」経験が続くと、
柴犬の中で次のように学習が進みます。
泣く → 人が来る → 安心する(+自由になれる)→ また泣いてみよう
こうして夜泣きが習慣化してしまうと、「今日は我慢させよう」と急に対応を変えても、
柴犬は混乱してさらに吠えてしまうことがあります。
この記事の後半で、家族全員の対応方針をどう揃えるかも詳しくまとめます。
夜泣き前に整えたいベッド環境と1日の過ごし方
夜泣き対策というと、「泣き始めてからどうするか?」に目が行きがちですが、
実は夜になる前の準備で7〜8割が決まると言っても大げさではありません。
ここでは、ベッド環境・日中の過ごし方・家族の対応ルールの3つを、具体的に整えていきます。
柴犬に合うベッドと置き場所の選び方
まずは、今使っているベッドと置き場所が、柴犬にとって本当に落ち着ける環境になっているかを確かめましょう。
- サイズ:体長+少しゆとりがあり、伸びても丸まっても体がはみ出さない
- 硬さ:ふかふかしすぎず、立ち上がるときに踏ん張りやすい適度な硬さ
- 形:縁が少し高く、体を預けられる「囲われ感」があるタイプを好む子が多い
- 置き場所:人の気配は感じられるが、ドアの真横や通路など落ち着かない位置は避ける
- 温度・湿度:人が少し涼しいと感じるくらいを目安に、エアコンや毛布で調整する
簡単な実験として、次のことを試してみると、その子の好みが見えやすくなります。
- 飼い主のにおいがついたTシャツやタオルをベッドに1枚入れてみる
- 部屋の明るさを少しずつ変えて、落ち着く明るさを探してみる
- テレビや家電の音が少ない「静かな角」を選んでみる
高価なベッドに変えることよりも、「その子に合った環境」になっているかの方がずっと大切です。
日中の運動・刺激・休憩のバランスを整える
夜泣きの大きな原因のひとつが、日中のエネルギーが余りすぎていることです。
次のような1日の流れをイメージしてみてください。
- 朝:しっかりめの散歩(匂い嗅ぎやトレーニングを織り交ぜる)
- 日中:短めの遊びを数回+知育トイやガムなどで「頭の疲れ」も作る
- 夕方〜夜:軽めの散歩や遊びで、適度な疲れを作っておく
- 就寝2〜3時間前:激しく興奮する遊びは控え、スキンシップやマッサージなどで落ち着いた時間に
- 就寝直前:トイレを済ませてからベッドへ
特に柴犬は、「頭を使う遊び」を取り入れると、良い疲労感で眠りやすくなります。
- フードをタオルに巻いて探してもらうノーズワーク
- コングなどの知育トイにフードを詰めて与える
- 簡単なトリック(お座り・フセ・お手・ターンなど)をゲーム感覚で行う
「散歩時間は足りているのに夜泣きする」という場合は、質(匂い嗅ぎや頭を使う要素)を見直してみてください。
家族全員の対応ルールを揃える
夜泣き対策でもっともこじれやすいのが、家族ごとに対応がバラバラになってしまうケースです。
例えば…
「ママはすぐ抱っこしに行く」「パパは厳しく叱る」「子どもはコソッとケージから出してしまう」
こんな状態では、柴犬はどうしたらいいのか分からず、かえって不安が強くなります。
夜泣きが続いているご家庭ほど、次のようなルールを紙に書き出して、
冷蔵庫やリビングに貼って共有しておくのがおすすめです。
- 泣き始めたとき、誰が最初に様子を見に行くか
- 健康面の不安がなければ、「原則は○分間は反応しない」などの方針
- どうしても対応が必要な時(トイレ・体調不良など)の例外ルール
- 叱らない・大声を出さないことを全員で徹底する
「今日は疲れているからつい抱っこしてしまった」など、
一度の例外でこれまでの努力が水の泡…ということもあります。
家族の足並みを揃えること自体が、夜泣き対策の大事なステップです。
今夜からできる夜泣き対策の実践ステップ
ここからは、実際に夜泣きが起きたときの対策を、順番に進めやすい形でまとめていきます。
状況を記録して「なぜ泣くのか」の仮説を立てる
いきなり「無視する」「叱らない」などのテクニックに走る前に、
夜泣きが起きるタイミングやパターンを記録してみましょう。
メモしておきたいポイントは次の通りです。
- 泣き始めるおおよその時間帯
- その直前にしていたこと(遊び・ごはん・トイレ・来客など)
- 泣き方の種類(クンクン・ワンワン・遠吠えのような声など)
- 部屋の明るさ・音・温度・家族の位置関係
スマホで動画を数本撮っておくと、動物病院やトレーナーに相談するときに非常に役立ちます。
「どんな状態のときに、どのくらいの時間泣いているのか」を一緒に見てもらえるからです。
ベッド環境と生活リズムを現実的に調整する
記録して見えてきた傾向をもとに、変えられるところから少しずつ調整していきます。
- ベッドの位置を、飼い主の寝室の隅など「気配を感じられる場所」に移動する
- 寝る前の遊びを見直し、激しいボール遊びは日中に回す
- 就寝時間を毎日大きくズラさず、ある程度一定にする
- ベッド付近の音源(テレビ・家電など)を減らす
いきなり全てを変えると柴犬も戸惑うので、まずは1〜2項目を1週間試してみるイメージで進めましょう。
少しずつでも「昨日より落ち着いているかも?」と感じられれば、それは立派な前進です。
夜泣きしてしまった瞬間の具体的な対応
実際に夜泣きが始まってしまったとき、どう対応するかが習慣づけに大きく影響します。
基本の流れは次の通りです。
- まずは落ち着いて深呼吸し、感情的にならないようにする
- 健康やトイレの問題が疑われる場合は、静かに確認して必要なケアをする
- 問題がなさそうなら、数分間は反応せず様子を見る
- どうしても声をかける場合は、低い声で短く(例:「大丈夫だよ」「おやすみ」など)
- 泣き止んだタイミングで、そっと褒め言葉をかける(大げさに構いすぎない)
ここで大切なのは、「泣いている最中」にご褒美のような関わりをしないことです。
例えば、泣き始めるたびにケージから出して撫でる・おやつをあげる…といった対応は、
意図せず「夜泣きの強化」になってしまいます。
「泣き止んだ瞬間に静かに褒める」というタイミングを意識してみてください。
柴犬の夜泣き対策でよくある失敗とリカバリー方法
がんばっているつもりが、実は夜泣きを悪化させてしまっているケースもよくあります。
ここでは、特にありがちな失敗パターンと、そこからの立て直し方をまとめます。
その場しのぎの抱っこ・ケージから出す
泣いている愛犬を見ると、つい「可哀想だから今日だけは…」と抱っこしてしまいがちです。
しかし、これが続くと
「泣けば出してもらえる」という学習につながり、翌日以降も夜泣きが増えてしまいます。
立て直しのポイントは、
「今夜から絶対に抱っこしない」と極端に決めるのではなく、徐々にルールを切り替えることです。
- まずは「ケージからは出さないが、そばに行って声だけかける」日に切り替える
- 慣れてきたら、「そばに行かず、声だけかける」段階に進む
- 最終的には、「泣き止んだ時だけ静かに褒める」形に落ち着かせる
感情的に叱る・大声を出す
眠れないイライラから、思わず「うるさい!」と怒鳴ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、これは柴犬の不安や恐怖を強めるだけで、根本的な解決にはつながりません。
もし一度強く叱ってしまったとしても、その後の対応を優しく安定させていけばリカバリーは可能です。
次の日からは、「落ち着いた声で短く伝える」「感情的になりそうなら、一度その場を離れる」など、
自分の気持ちの整え方も意識してみてください。
ベッドや寝る場所をコロコロ変えすぎる
「このベッドがダメなら、次はこっち…」と次々に買え変えてしまうのも失敗のもとです。
環境の変化に敏感な柴犬にとっては、落ち着く前にまた変わる状態が続くことになってしまいます。
新しいベッドを試す場合も、
- しばらくは古いベッドも同じ部屋に置き、自由に行き来できるようにする
- いきなり夜から新ベッドだけにするのではなく、日中の昼寝タイムから慣らす
といった工夫をしながら、「安心できる場所」だと感じてもらう時間を作ってあげましょう。
月齢別に見る柴犬のベッドと夜泣きのポイント
同じ柴犬でも、子犬期・成犬期・シニア期では、夜泣きの背景や対策の重点が少しずつ変わります。
子犬期(〜1歳前後)の夜泣き
- 環境に慣れていない・分離不安が強い時期
- トイレの我慢がまだ上手ではなく、夜中に1〜2回排泄が必要なことも
- 日中の遊びと睡眠リズムがバラバラになりやすい
この時期は、
「しつけ」と「安心感づくり」をセットで考えることが大切です。
完全に無視するのではなく、
- 最初の数週間はベッドを飼い主の寝室の隅に置く
- トイレか不安か分からない場合は、静かにトイレに連れて行き、終わったら淡々と戻す
- 日中に「一人で過ごす練習」を少しずつ取り入れ、離れても必ず戻ってくる経験を積ませる
など、「この家は安全で、ひとりで寝ても大丈夫」という感覚を育てていきましょう。
成犬期(1〜7歳前後)の夜泣き
成犬で急に夜泣きが増えた場合は、生活環境の変化やストレスが関係していることが多いです。
- 引っ越し・模様替え・家族構成の変化
- 留守番時間の増加・運動量の低下
- 他の犬や人とのトラブル・怖い経験
この場合は、原因になっていそうな出来事を洗い出し、そこと夜泣きのタイミングを紐づけて考えるとヒントが見つかりやすくなります。
あわせて、日中のストレス発散とベッドの安心感アップを意識して整えていきましょう。
シニア期(7歳以降)の夜泣き
シニア期の夜泣きは、認知機能の変化や、痛み・不快感が影響している場合も少なくありません。
- 昼夜逆転してしまい、夜にウロウロ歩き回る
- 視力や聴力の低下で、夜の静けさがかえって不安になる
- 関節痛などでベッドからの立ち上がりがつらく、頻繁に体勢を変える
シニア期の夜泣きが気になるときは、早めに動物病院で相談し、痛み止めやサプリメント・環境調整なども含めた総合的なケアを検討すると安心です。
ベッドも、段差が少なく、適度に硬いマットタイプへ切り替えてあげると楽になる場合があります。
よくある質問(Q&A)
毎晩夜泣きされていて、こちらが限界です…。完全に収まるまでどのくらいかかりますか?
原因や環境にもよりますが、しっかり準備とルールを整えて取り組んだ場合、
数日〜数週間で「明らかに減ってきた」と感じるご家庭が多いです。
ただし、途中でルールがブレたり、環境の変化が続くと長引きやすくなります。
この記事で紹介したように、
- ベッド環境と1日の過ごし方の見直し
- 家族の対応ルールを揃えること
- 泣き止んだ瞬間に静かに褒めること
の3つを意識して、「完璧」を目指しすぎずに続けてみてください。
一緒の布団で寝れば夜泣きはなくなりますか?
確かに、同じ布団で寝ることで夜泣きが減る子もいます。
ただ、その場合、
- 夏場の暑さや誤って踏んでしまうリスク
- ホテルや病院など、どうしても別々に寝ないといけない場面への対応
といった点もセットで考える必要があります。
「将来的にどういうスタイルで寝たいか」を家族で話し合った上で、ベッドやクレートを安心できる場所として育てていくのか、一緒に寝るのかを決めていくのがおすすめです。
仕事で疲れている日だけは、泣いたらすぐ対応してもいいですか?
気持ちはとてもよく分かりますが、「今日はOK・明日はNG」と日替わりルールになると、
柴犬は混乱してしまいます。
どうしてもつらい日は、
- 別の家族に対応をお願いする
- 寝る部屋を一時的に分ける
- あらかじめ知育トイやガムで「静かに過ごせる時間」を作る
など、なるべくルールを崩さずに乗り切る方法を考えてみてください。
まとめ:柴犬がベッドで安心して眠れる夜を少しずつ増やしていこう
柴犬のベッドでの夜泣きは、
- 健康・環境・心理・学習の4つの視点で原因を整理する
- ベッド環境・日中の過ごし方・家族の対応ルールを先に整える
- 「泣いている最中」ではなく「落ち着いた瞬間」を褒める
という流れで向き合っていくと、少しずつ落ち着いてくることが多いです。
完璧なマニュアル通りに進まなくても大丈夫。
「昨日より少し吠える時間が短くなった」
「今日は最初の一声で済んだ」
そんな小さな変化を、ぜひご家族みんなで喜んであげてください。
あなたの柴犬が、ベッドでぐっすり眠れる夜が一日でも早く増えますように。
この記事の内容が、そのお手伝いになればうれしいです。



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