柴犬と旅行に行きたい。でも「ほかの犬に吠えてトラブルになったら…」と不安で、一歩が踏み出せない。そんな飼い主さんはとても多いです。
結論から言うと、旅行中の吠えは「性格」だけで決まるものではなく、環境・距離・導線・飼い主の動き方で大きく変わります。完璧にゼロを目指すよりも、「短く・小さく・切り替えやすく」する設計を作れば、旅行の満足度は一気に上がります。
この記事では、柴犬が吠える理由の整理から、出発前の準備、当日の動き方、吠えそうな瞬間の具体策、やりがちな失敗、そして緊急時の対応まで、飼い主さんが「次の旅行で使える形」に落とし込みました。
まず全体像をつかむ

柴犬が旅行先で他の犬に吠えるのは、よくあることです。旅行は「初めての場所・におい・音・人・犬」が一度に押し寄せるイベント。柴犬のように警戒心が強く、テリトリー意識が強めな犬種は、とくに反応が出やすくなります。
ここで大事なのは、吠えの正体を「困った行動」だけで終わらせず、感情として理解することです。旅行中の吠えには、主に次の4タイプが混ざります。
吠えの主な原因は4タイプ
- 不安吠え:初めての場所・音・匂いで怖い。安心できずに声が出る
- 警戒吠え:近づいてくる犬や人に「来ないで」と伝えたい
- 興奮吠え:刺激が多すぎてテンションが上がり、声が止まらない
- 学習された吠え:吠えたら相手が離れた・飼い主が抱っこした等で成功体験になっている
同じ「ワンワン!」でも、中身が違うと対策も変わります。たとえば、不安が強いなら「視界を減らす・安全基地を作る」、興奮なら「動線を短く・休憩を増やす」、学習なら「吠える前の行動を強化する」が効きやすいです。
旅行中に吠えやすい「危険シーン」一覧
吠えが起きやすいのは、だいたい次の場面です。先に知っておくと、ルートや時間を組み替えられます。
- サービスエリア/PAの散歩(犬が集中しやすい)
- 宿のロビー、廊下、エレベーター(距離が詰まりやすい)
- ドッグラン、ドッグカフェ、犬OK観光地(刺激が強い)
- チェックイン・会計の待ち時間(動けない=ストレスが上がる)
- 写真撮影で立ち止まる時間が長い(見つめる→吠えに繋がりやすい)
吠え対策の基本は「距離・視線・導線」
旅行中に効きやすいのは、しつけの根性論ではなく、環境設計です。特に次の3つを押さえるだけで、吠えはかなり減らせます。
- 距離:吠えるギリギリではなく「余裕のある距離」を最初から取る
- 視線:正面対面を避け、体の向きを斜めにして視界から外す
- 導線:犬が密集する場所を通らない、混む時間を避ける、立ち止まらない
完璧を狙うほど、飼い主さんの緊張が上がり、その緊張が柴犬に伝わって吠えが増えることもあります。まずは「安心できる範囲を少しずつ広げる旅」として設計していきましょう。
旅行前に準備しておきたいこと

旅行前の準備で、当日の吠えリスクは大きく変わります。ここでは「しつけ」「持ち物」「宿・移動」「当日の設計」をセットで整えます。
吠えにくい土台づくり(旅行前2週間〜)
旅行直前に魔法のように吠えが消えることはありません。だからこそ、旅行前は「当日使うスキルだけ」に絞って練習するのがコツです。
- クレート=安全基地:中で10〜30分落ち着ける練習(扉を閉める→開けるを短時間から)
- 合図は短く:「おいで」「待て」「ハウス」「見て(アイコンタクト)」
- 犬が見える距離で食べられるか:遠くの犬を見ながらオヤツが食べられる距離=安全距離の目安
- 人混み・音に短時間だけ慣らす:5〜10分→成功して帰る(長居しない)
ポイントは「我慢させる」より「成功体験を積む」こと。吠えなかった瞬間に褒められると、旅行先でも切り替えが速くなります。
吠え対策に効く持ち物(忘れると詰むセット)
旅行は環境が変わるぶん、愛犬の安心材料を持ち込むのが強いです。特に吠えやすい子は「匂い」と「視界」を味方にしましょう。
- クレート/キャリー(布をかけられるサイズが理想)
- クレート用ブランケット(家の匂いがついたもの)
- 高価値おやつ(普段より少し特別:小さくちぎれるもの)
- マナーポーチ・消臭袋(宿やSAで必須)
- 給水ボトル・折りたたみ皿
- 迷子対策(首輪の迷子札、鑑札・注射済票、できればGPS)
- マナー用品(マナーベルト、足拭き、ウェットティッシュ)
移動手段ごとのルールを把握する
交通機関の条件は変わりやすいので、必ず公式情報で最終確認してください。ここでは一般的な考え方として整理します。
| 交通手段 | 犬の扱いの目安 | 吠えやすい子の現実的おすすめ |
|---|---|---|
| 鉄道 | ケースに入れて手回り品扱いが多い | 短距離で“試し乗車”→成功したら延ばす |
| 飛行機 | 貨物室預かりが多い(条件は会社・路線次第) | 吠えだけでなくストレスが大きい。慎重に判断 |
| バス | 不可が多く、可でも条件厳しめ | 吠えやすい子は難易度高め |
| マイカー | 自由度が高く距離調整しやすい | 最初の旅行は基本これが成功率高い |
吠えが強い場合、まずはマイカーで「距離を調整できる旅」から始めると成功しやすいです。公共交通機関は、環境コントロールが難しいぶん、“試し乗り”で反応を確認してからが安全です。
宿・施設選びは「犬OK」だけで判断しない
同じ“ペット可”でも、吠えへの許容度・共有スペースの設計・導線がまったく違います。吠えやすい柴犬ほど、次を確認するとトラブルが減ります。
- 共有スペースの広さ(廊下が狭い・エレベーター必須だと難易度UP)
- 部屋の位置(端の部屋、1階、別棟などは会いにくい)
- 食事(部屋食・個室が選べると安心)
- ドッグランの混雑(小規模で常に混む場所は避ける判断も必要)
- 吠えへの規約(「無駄吠えNG」の表現がある場合は事前相談)
不安がある場合は、予約前に
- 「ほかの犬に吠えやすいのですが、どの導線なら迷惑になりにくいですか?」
と聞くと、宿側も具体的に案内してくれることが多いです。
出発前日の「仕込み」が当日を左右する
意外と大事なのが前日です。睡眠不足・運動不足・興奮のまま出発すると、旅行当日に吠えが増えやすくなります。
- 前日は軽い運動+早めに就寝(犬も飼い主も)
- 当日の朝に排泄と軽い散歩(エネルギーを少し抜く)
- 荷物は前日までに準備してバタバタしない(緊張が伝わる)
当日の手順と吠えを減らすコツ
当日は「吠えたらどうしよう」と考えるほど難しくなります。代わりに、起こりやすい場面を先読みし、動線で回避するのが最短ルートです。
出発〜到着までの基本設計(成功しやすい型)
- 出発前に短い散歩(排泄+軽い運動)
- 車内はクレート固定(安全+視界制限)
- 休憩は1〜2時間ごと(短く、静かな場所を選ぶ)
- 混む場所は避ける(ドッグランより外周散歩が安定)
- 宿到着後は部屋で落ち着かせる(すぐロビーでうろつかない)
マイカー移動のポイント(吠えやすい柴犬向け)
- クレートはシートベルト等で固定(揺れが少ないほど落ち着く)
- 窓の外が見えすぎるなら、目隠し布で刺激を減らす
- 渋滞時は休憩を前倒し(疲れてからのSAは吠えやすい)
- 休憩は「遊び」より「リセット」(短い散歩→水→車に戻る)
SA/PAで吠えを増やさないコツ
SA/PAは犬が集まりやすいので、吠えが出やすいポイントです。ここは「戦わず逃げる」が正解になりやすいです。
- 到着したらまず外周を確認(犬が多い場所を避ける)
- 犬が密集する芝生・ドッグラン入口付近に近づかない
- すれ違いそうなら、Uターンして距離を作る
- 立ち話をしない(止まる=凝視が起きる)
公共交通機関を使うときの「刺激カット」戦略
公共交通機関は「静かに」「動けない」が前提です。吠えやすい子ほど、刺激をカットする設計が重要です。
- キャリーに布をかけて視界を制限
- 乗車前に排泄と軽い運動
- 混雑時間を避ける(可能なら平日・昼間など)
- 落ち着いている瞬間だけ、短くオヤツ(連発しない)
宿に着いてからの過ごし方(吠えを増やさない順番)
- 部屋に入ったら、まずは室内をゆっくり探索
- 家の匂いのブランケットで「安心スポット」を作る
- 落ち着いたら短い“成功練習”(見て→褒める)
- 共有スペースは空いている時間に短時間で
吠えそうな場面で効く「距離・向き・時間」
吠えは、ギリギリで耐えさせるほど爆発します。吠えそうなら、次の3点で調整します。
- 距離:安全距離より「さらに一歩」下がる
- 向き:真正面を避け、体を斜めにして視線を切る
- 時間:すれ違いは短く。写真撮影は場所を変える
吠えたときのNG対応/OK対応
NG:大声で叱る/リードを強く引く/顔を押さえる/相手に近づけて慣れさせる
OK:静かに距離を取る/視線を切る/落ち着いた瞬間に褒める/安全圏でリセットする
「吠えた瞬間」どう動く?30秒でできる緊急対処
旅行中は「吠えない」をゼロにできなくても大丈夫。大事なのは、吠えが出たときに拡大させずに収束させる動き方です。
緊急対処の基本:3ステップ
- 距離を取る(無言でスッと離れる。叱らない)
- 視線を切る(体の向きを変える・柱や車を間に入れる)
- 落ち着いた瞬間を褒める(静かになった1秒を逃さない)
ここで「吠えたから抱っこ」は、犬によっては“吠えると抱っこしてもらえる”の学習になることもあります。抱っこが必要な場合は、抱っこ自体を“報酬”にしないために、距離を取って落ち着いてから抱っこするほうが安全です(安全確保が最優先なので状況で判断してください)。
狭い場所(廊下・エレベーター)で犬と遭遇したら
- 可能なら先に通してもらう/自分が待つ
- 壁側に寄せて体でガード(相手犬が見えにくくする)
- 無理に挨拶させない(通過を最優先)
よくある失敗パターンと避け方
吠えトラブルは「気合い不足」ではなく、設計ミスで起きることが多いです。ありがちな失敗と、避け方をまとめます。
刺激が多いのに「さらに刺激」を足してしまう
- 到着直後に混雑ドッグランへ
- 犬連れ観光地で行列に長時間
- 写真撮影で立ち止まり続ける
避け方:「短時間で成功して撤退」を合言葉に。楽しい場所ほど短く切り上げると、吠えが増えにくいです。
「吠えた後」だけ何とかしようとする
吠えの直前にはサインがあります。ここで動けると、吠えの回数が減ります。
- 耳が立つ/体が前のめり
- 凝視が始まる/尻尾が固くなる
- 小さく唸る/口元が固い
避け方:サインが出たら「方向転換」か「距離を増やす」。吠える前に動ければ、旅行は一気に楽になります。
宿・移動の“導線”を甘く見てミスマッチ
- 廊下が狭くすれ違いが避けられない
- チェックインが混みやすい時間に到着
- 初めて電車なのに長距離移動
避け方:到着時間をずらす、端の部屋を希望する、短距離で試す。導線が整うと吠えは減ります。
飼い主が緊張しすぎて犬に伝わる
「また吠えたらどうしよう」は、犬にも伝わります。事前に対応パターンを決めておくと余裕が出ます。
まとめ:柴犬と旅行を楽しむために大切なこと
柴犬が旅行先で他の犬に吠えるのは、性格だけの問題ではなく、刺激が多い環境で“不安・警戒・興奮”が高まりやすいことが大きな理由です。
成功のカギは、出発前にクレートを「安全基地」にしておくこと、宿や移動の条件を確認して導線を整えること、そして当日は距離・視線・時間で刺激をコントロールすることです。
吠えをゼロにするより、短く・小さく・切り替えやすくする設計が、飼い主さんも柴犬もストレスが少なく、結果的に旅行の満足度が高まります。まずは「安全距離の把握」と「成功して帰る短い旅」から始めて、少しずつ“安心できる範囲”を広げていきましょう。
最終更新:2026-02-06
FAQ:柴犬との旅行でよくある疑問
ここでは、柴犬と旅行を計画するときに多くの飼い主さんが不安に思いやすい点を整理します。※具体的な条件・料金・規約は各社・各施設の最新情報を優先してください。
他の犬に吠えやすい柴犬でも旅行はできますか?
できます。ポイントは「吠えをゼロにする」ではなく、吠えが起きにくい環境と導線を作ることです。最初はマイカーで距離を調整しやすい旅を選ぶと成功率が上がります。
旅行先で吠えたら、まず何をすればいい?
最優先は距離を取ることです。次に視線を切って刺激を減らし、落ち着いた瞬間を褒めます。叱ったり引っ張ったりすると興奮が上がりやすく、収束が遅れることがあります。
ドッグランは行ったほうがいいですか?
吠えやすい子は、混雑時のドッグランが逆効果になることもあります。外周散歩や空いている時間帯の短時間利用など、無理しない選択が安全です。
宿選びで“吠えやすい子”が重視すべきポイントは?
「犬OK」だけでなく、共有スペースの導線(廊下の広さ・エレベーター必須か・部屋の位置)と、食事が個室/部屋食か、吠えへの規約を確認しましょう。不安なら事前に相談すると安心です。
公共交通機関で吠えないか不安です
まず短距離で試し、刺激を減らすためにキャリーに布をかけるなどの工夫をします。どうしても不安が強い場合は、マイカー旅行から慣らすほうが現実的です。


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