柴犬との旅行は最高の思い出になりますが、「吠えて迷惑にならないかな…」という不安もつきもの。大事なのは吠えをゼロにすることではなく、吠えが出る前に予防し、出ても短時間で立て直すことです。この記事では、初心者でも実践しやすいように、旅行の前後で“何を・どの順番で・どうやるか”を具体的に深掘りして解説します。
まず全体像をつかむ:柴犬と旅行中の吠えは「ゼロ」より「コントロール」を目指す

結論から言うと、旅行中の吠えを完全にゼロにするのは現実的ではありません。ただし、柴犬の吠えを「出にくくする」→「出ても短くする」→「次に同じ場面を起こりにくくする」という流れで、確実にコントロールに近づけます。
柴犬は警戒心が強く、環境の変化に敏感な犬種です。旅行では「知らない場所・音・人・犬・乗り物」が一気に増えるため、普段は落ち着いている子でも吠えが出やすくなります。ここを理解していないと、飼い主さんが焦り、声が大きくなり、結果として柴犬の警戒がさらに強まる…という悪循環が起きがちです。
吠えを「悪い癖」と決めつけるのではなく、まずは“不安・警戒・困っている”のサインとして受け止めましょう。吠えは柴犬のSOSであり、こちらがやるべきことは「叱り倒す」ではなく、環境設計と準備です。
最短で成果が出る考え方は、吠え対策を「事前準備」「当日の動き方」「失敗時のリカバリー」の3つに分けて設計することです。さらに“柴犬らしさ”として、次の特徴を押さえると対処が一気にラクになります。
- 一度警戒スイッチが入ると切り替えが難しい:早めに距離を取るのが最強
- “知らないもの”が苦手:旅行で初物が多すぎると吠えが増える
- 飼い主の緊張が伝わりやすい:人が落ち着くほど犬も落ち着く
ここから先は、「旅行当日だけ頑張る」ではなく、家での仕込み+当日の動線+いざという時の型をセットで作っていきましょう。
旅行前に準備しておきたいこと:家でできる5つの基本トレーニング

旅行当日の吠えを抑えるカギの多くは、実は「家での準備」にあります。おすすめは出発の1〜2か月前から、短時間でいいので積み上げること。ここでは「初心者でも再現しやすい」ことにこだわって、実践手順まで落とし込みます。
まず最初にやるべき:吠えの“トリガー”を書き出して可視化する
吠え対策は、根性ではなく設計です。最初に「うちの柴犬が吠えやすい条件」を書き出してください。旅行先では、日常のトリガーが強化版で出現します(音が大きい・距離が近い・逃げ場がない)。
- インターホン/ドアの音
- すれ違い時の人・犬
- 子どもの声/走る音
- バイク・救急車・アナウンス
- 飼い主が姿を消す(分離不安)
これが分かると、旅行計画が「気合」ではなく回避と緩和で組めます。たとえば「子どもが苦手」なら、家族連れが増える時間帯を避ける。これだけで吠え確率は下がります。
| 準備項目 | 目的 | 具体的にやること |
|---|---|---|
| クレート・キャリー慣れ | 移動中の「安心基地」をつくる | 扉を開けたまま設置→中でごはん・おやつ→短時間だけ扉を閉める→静かに出られたら褒める、を段階的に |
| 音・揺れへの慣れ | 乗り物刺激の予防 | 環境音を小音量で流す→数分で終了→慣れたら時間を伸ばす/車は1〜5分の短距離から |
| 「待て」「おいで」 | 興奮したときの制御 | 家→玄関→静かな屋外→少し刺激のある場所へ、段階的に難易度を上げる |
| トイレの合図 | 休憩を“計画化”する | 「ワンツー」など合図→成功直後に報酬(おやつ・褒め)を固定。旅行当日も同じ合図を使う |
| 健康チェック | 体調由来の吠えを防ぐ | 事前受診/車酔いがあれば相談。普段と違う環境での不調は吠えの増加に直結する |
クレート・キャリーは「閉じ込める箱」ではなく「安心できる巣」に
クレートは“吠え対策の最強装備”です。なぜなら、柴犬が警戒したときに必要なのは「逃げ場」で、クレートは移動中でも宿でも使える持ち運べる安全地帯だからです。
コツは「入れたら終わり」ではなく、自分から入りたくなる場所にすること。おすすめの順番はこれです。
- クレートをリビングに置きっぱなしにして、日常の風景にする
- 中でごはん/ガム/知育トイを与えて、報酬の場所にする
- 扉を閉めるのは数秒から。静かな状態で開ける(吠えている最中に開けない)
- 慣れたらタオルをかけて暗くし、視界刺激を減らす
公共交通機関を使う場合は、JR・飛行機・バスなどでケージ条件が異なります。柴犬はサイズ的に“条件に合わないケース”もあるため、必ず最新の公式条件で確認してください。車移動でも安全上、クレート/ドライブ用ケージ/シートベルトハーネスを基本にしましょう(膝の上は急ブレーキで危険+外刺激で吠えやすいです)。
車移動とSA/PAの使い方:吠えが出にくい“休憩設計”が勝ち
吠えやすさは、実は「到着前」に決まることが多いです。長時間の移動で疲れ、刺激が積み重なると、宿の物音にも過敏になります。だからこそ、休憩は“甘え”ではなく吠え予防の戦略です。
- 2〜3時間ごとに休憩を入れる前提でルートを作る
- 可能なら芝生や散歩しやすい場所があるSA/PAを選ぶ
- ドッグランは便利だが、苦手な犬がいる子は無理をしない(周辺散歩でもOK)
- 夏は熱中症、冬は冷え+路面凍結に注意し、季節の安全を最優先に
- 真夏は早朝・夕方〜夜中心に計画(昼の長距離は避ける)
休憩の目的は「運動」だけではありません。トイレ→水分→軽い散歩→クレートで休むの“型”を作ると、柴犬が安心しやすくなります。
宿泊先・持ち物のチェックリスト:吠え対策は「宿選び」で8割決まる
「犬OK」でも安心はできません。柴犬の吠え問題は、宿側の条件と相性で結果が大きく変わります。以下は必ず確認しておきましょう。
- 柴犬サイズ(中型犬)受け入れ可か
- 吠えに関するルール(一定時間で対応が必要、注意喚起など)
- クレート・サークルは備え付けか/持参必須か
- 部屋食か/レストラン同伴か(同伴は刺激が多い)
- 部屋の位置:できれば角部屋/端の部屋/人通りが少ない場所を相談
持ち物は「便利グッズ」よりも、柴犬が落ち着くための“いつもの匂い”が重要です。
- 普段使っているベッド/ブランケット
- 飼い主や家のにおいがついたタオル/衣類
- いつものフード/おやつ/飲み慣れた水
- お気に入りのオモチャ/ガム/知育トイ
- トイレ用品(マナーウェア・シーツ・消臭)
- 宿での“音”対策:目隠し用の布、必要なら小型のホワイトノイズ(スマホでも可)
不安が強い場合は、いきなり遠出より短時間の成功体験を作りましょう。おすすめは「車で30分のドッグラン」「犬同伴OKの静かなカフェ」「日帰りで行ける公園」。成功体験が積み上がるほど、旅行本番の吠えは減りやすくなります。
手順とコツ:旅行計画〜当日までの3ステップ
ここからは、旅行の計画から当日までを「吠えを減らす視点」で、迷わないように3ステップ化します。ポイントは、毎回の旅行を“試験”にしないこと。成功確率が高い条件に寄せるのがコツです。
情報を集めて「吠えても受け入れてもらえる環境」を選ぶ
- 「中型犬可」「犬連れ専用」「犬に慣れた宿」を優先
- 宿の口コミは「犬の鳴き声」「音」「壁の薄さ」「廊下の足音」など、吠えに直結する要素を中心に読む
- 車移動なら、休憩スポットを先にピン留めしておく(焦ると吠えが増える)
- 観光地は「犬OKエリア」「抱っこ・カートなら可」「ペットNG」を事前確認
柴犬が落ち着きやすい条件は、ざっくり言うと静か/逃げ場がある/刺激が少ないです。部屋食、部屋が独立に近い、他の犬と距離が取れる…こうした条件に寄せるほど、吠えのリスクは下がります。
候補を絞り込み、宿や交通機関に直接問い合わせる
問い合わせは気が重いかもしれませんが、ここを丁寧にやると当日の安心感が段違いです。伝えるポイントは「正直さ」と「対策する姿勢」です。
- 「柴犬で警戒吠えが出ることがあります。対策はしますが大丈夫でしょうか」と相談する
- 希望が通るなら、角部屋/端の部屋/エレベーターから遠い部屋をお願いする
- 「部屋で留守番してもよいか」「共有スペースはキャリーインか」も確認
- 夜間に吠えた場合、スタッフに相談できるか(部屋移動など)も聞けると理想
ここでの重要ポイントは、「吠えをゼロにできます」と約束しないこと。むしろ、正直に伝えた上で受け入れてくれる場所を選ぶほうが、気持ちもラクで、万一のときも相談しやすいです。
当日の動き方をシミュレーションし、持ち物を整える
旅行当日は、柴犬にとって刺激が多い日です。だからこそ「行き当たりばったり」をなくして、当日の型を作っておくのが最大の対策です。
- 出発前:トイレ → 軽い散歩 → 朝ごはん(少なめ) → 出発を余裕をもって
- 移動:休憩を前提にルート設計(季節の安全:真夏の炎天下は避ける)
- 宿到着:まずは短い散歩→部屋で水→クレート設置→落ち着いたら探索、の順
- 雨の日:レインコート、タオル、足拭きなどで「不快」を減らす
公共交通の条件は会社や路線で大きく変わります。一般的な目安はありますが、柴犬サイズだと当日トラブルになりやすいので、必ず最新の公式情報で確認してください。
そして最大のコツは、「吠えたらどうしよう」ではなく、「吠えたらこうする」を決めておくことです。おすすめの“即対応の型”はこちら。
- 刺激から距離を取る/向きを変える(最優先)
- クレートに入れて布をかける(視界刺激を減らす)
- 知育トイ/ガムで“噛む行動”に切り替える
- 静かになった瞬間を逃さず褒める+小さなおやつ(静かな時間を強化)
「吠えが出た」=失敗ではありません。大事なのは短くして立て直すこと。その成功体験が次の旅行をラクにします。
よくある失敗パターンと、柴犬ならではの避け方
柴犬との旅行は、ちょっとした設計ミスで吠えが増えます。ここでは「やりがちだけど効く対策」を、柴犬の性質に合わせて具体化します。
移動時間を詰め込みすぎて、柴犬も人もぐったり
- 疲労とストレスで、些細な物音にも警戒吠えが出やすくなる
- 車なら2〜3時間ごとに休憩し、歩ける場所で気分転換
- 夏は地面の熱・車内温度、冬は冷えすぎに注意し、季節対策を徹底
- 高齢犬・持病がある場合は、距離を短くする/泊数を増やして1日の負担を減らす
宿や施設の「犬OK条件」を細かく確認していなかった
- 「犬OK」でも小型犬のみ/頭数制限/吠える犬は不可などがある
- 「留守番可」「共有スペースのルール」「夜間に吠えた場合」を事前確認
- 吠えたときのために目隠し布/噛むおやつ/クレートを用意
- チェックイン時に柴犬の性格(警戒しやすい等)を軽く伝えると、対応がスムーズ
公共交通のルールを知らずに当日トラブル
- 会社ごとにサイズ・重量・料金・置き場所が異なる
- 柴犬サイズだと条件に合わないこともあるため、代替手段(車・ペットタクシー等)も検討
- 混雑時間帯を避け、静かな時間帯に移動して刺激を減らす
- 乗車前にトイレと散歩を済ませ、車内は知育トイで落ち着かせる
吠えたときに叱りつけて、かえって悪化させてしまう
- 大声で叱ると、柴犬によっては「一緒に吠えている」と誤解して興奮が増すことがある
- 吠える前のサイン(耳が立つ・体が固まる・凝視)で早めに回避する
- 一瞬でも静かになったら、その瞬間を褒めて強化する
- 強い不安や攻撃性が絡む場合は、ドッグトレーナー/獣医行動診療へ相談
旅行中は完璧よりも、「避ける」「短くする」「立て直す」が正解です。旅行の回数が増えるほど、柴犬は「この流れなら大丈夫」と学習していきます。
まとめ:柴犬が安心できる旅行プランを少しずつ育てていこう
柴犬との旅行で吠えを完全になくすのは現実的ではありません。しかし、
- 吠えやすい場面(トリガー)を把握する
- 家での事前準備(クレート・音慣れ・基本トレ)を積む
- 当日の動線と休憩を設計し、吠えたときの型を決める
この3つで、吠えトラブルの多くは防げます。大切なのは、飼い主さんが「完璧」を背負わないこと。柴犬は敏感なので、あなたの緊張は伝わります。最初は近場・短時間から始めて、成功体験を積み上げ、少しずつ距離や泊数を伸ばしていきましょう。
最終更新:2025-12-26
FAQ:柴犬と旅行中の吠えに関するよくある質問
初めての旅行でも大丈夫?何泊までがおすすめ?
初めては1泊2日、移動は片道2〜3時間以内が目安です。まずは「成功できる条件(静か・短い・逃げ場あり)」に寄せて、慣れてきたら距離や泊数を伸ばしましょう。
吠えがひどい場合は、旅行をあきらめるべき?
あきらめる必要はありませんが、日常でも吠えが強くて困っている場合は、旅行の前にトレーナー相談や、必要に応じて獣医師(行動診療)に相談し、コントロールの土台を作るほうが安全です。
クレートに入れると余計に吠えます。どうしたらいい?
「クレート=閉じ込められる場所」という印象が強い可能性があります。扉を開けたままにして、中でごはん・おやつを与えるところからやり直し、自分から入ると良いことがある学習を積み上げてください。吠えている最中に開けると「吠えれば出られる」を学ぶので、開けるタイミングは静かになった瞬間にします。
車酔いと吠えがセットで出ます
車酔いの気持ち悪さが不安を増やし、吠えにつながることがあります。短時間のドライブ練習から始め、必要なら獣医師に酔い止めの相談を。出発前の食事を少なめにするのも有効です。
宿で夜中に吠えたらどうすればいい?
まずは何に反応しているかを確認し、刺激を減らします(カーテンを閉める、ベッド位置を変える、廊下側から離すなど)。そのうえで、クレートに入れて布をかける、寝床を飼い主の近くに移すなど、安心できる環境を作ってください。落ち着いた瞬間を褒めて、静かな時間を強化します。



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