「またベッドでおしっこしてる…」「わざとやってるの?」
そんなふうに落ち込んだりイライラしてしまうこと、ありますよね。しかも毎回ベッドを洗ったり買い替えたり…、体力的にも経済的にもつらくなってきます。
ですが、柴犬がベッドでトイレをしてしまうのは、性格・習性・環境・健康状態などが重なった“結果”であって、「わがまま」や「反抗」ではありません。
この記事では、
- なぜベッドをトイレだと勘違いしてしまうのか
- どこから見直すと改善しやすいのか
- 年齢別・状況別の具体的な対処法
- 絶対に避けたいNG対応と、代わりにできること
まで、飼い主さんが「今日から具体的に動けるレベル」で、詳しく整理してまとめました。
「叱る」よりも環境づくりと成功体験を積み重ねていけば、ベッドでのトイレ失敗は必ず減らしていけます。一緒に、柴犬と心地よく眠れるベッド環境を作っていきましょう。
柴犬がベッドでトイレをしてしまうときに、まず知っておきたい前提
最初に、知っておくと気持ちが少しラクになる「大前提」を押さえておきます。
犬は本来「寝床を汚したくない」動物
犬は本来、自分が寝る場所を汚さないように行動します。それでもベッドでおしっこ・うんちをしてしまうときは、
- トイレの場所が分かりづらい・遠い
- 我慢できない状況に追い込まれている
- 「ここでしても怒られない」と誤学習している
- 体調不良で間に合わない・コントロールできない
など、犬側にも「理由」がある状態と考えてあげるのがスタートラインです。
柴犬ならではの性格も影響しやすい
特に柴犬は、次のような性質を持つ子が多いと言われます。
- 警戒心が強く、環境の変化に敏感
- 神経質で、トイレ環境が少し気に入らないだけでも我慢してしまう
- 飼い主の反応に敏感で、叱られると余計に混乱しやすい
そのため、「ただ厳しく叱る」だけでは改善しにくい犬種でもあります。原因を冷静に分解しながら、柴犬のペースに合わせて整えていくことが大切です。
ベッドでのトイレ失敗で多い原因パターン
ここからは、実際によく見られる原因を、パターン別に整理していきます。愛犬の様子と照らし合わせながら読んでみてください。
子犬期にトイレルールがあいまいなまま成長したパターン
- 「なんとなくシーツでできている」けれど徹底できていない
- トイレシーツ以外の布製品(毛布・ラグ・タオル)でも排泄したことがある
- 失敗しても片付けて終わりで、「ここはダメ」「シーツが正解」がはっきり伝わっていない
この場合、「ふかふかしたもの=おしっこしてもいい場所」と勘違いしている可能性があります。ベッドの感触とトイレシーツの感触が似ていると、境界がさらにぼやけやすくなります。
ベッドとトイレの距離・レイアウトの問題
- サークルの中に「ベッド」と「トイレ」をギュッと詰め込んでいる
- 通路が狭く、トイレまで行く途中でベッドをまたぐような動線になっている
- ベッドの方が安心できる場所で、トイレは落ち着かない位置にある
こうした環境では、犬の感覚から見ると「どこからベッドでどこからトイレか分からない」状態になりがちです。特に夜間や薄暗い場所では、境界がさらに曖昧になります。
留守番やストレスが重なっているパターン
- 留守番時間が長い・不規則で、トイレに行けるタイミングが安定していない
- 寂しさ・不安から、飼い主のニオイがついたベッド付近に排泄してしまう
- 構ってほしくて、わざと目立つ場所にしてしまうケースもまれにある
この場合、トイレ失敗は「環境と気持ちのSOS」であることも多いです。トイレだけでなく、生活リズムやスキンシップの時間の見直しもセットで考える必要があります。
シニア犬・持病がある子に多い健康要因
- トイレまで歩くのがつらい・足腰が痛い
- 尿意・便意を感じてから我慢できる時間が短くなっている
- 膀胱炎や内臓の病気で頻尿・失禁が起きている
このような場合は、しつけの問題ではなく健康の問題がメインです。環境調整だけでなく、早めに動物病院で相談することが何より大切になります。
今日からできる環境づくりのポイント
原因のイメージがつかめたら、次は「ベッドとトイレの環境」を整えていきましょう。ここを丁寧にやるだけでも、失敗がグッと減るケースが多いです。
ベッドとトイレの位置関係を見直す
まずは、次のポイントをチェックしてみてください。
- ベッドとトイレが近すぎないか(最低でも「犬1〜2頭分」は離すイメージ)
- ベッドとトイレの間に、犬が通りやすいまっすぐな通路があるか
- ベッドのすぐ横にトイレを置いていないか
可能であれば、
- ベッドゾーン(休む場所)
- トイレゾーン(排泄する場所)
を、サークルやフェンスでしっかり区切るのがおすすめです。どうしてもベッドでしてしまう場合は、一時的にベッドを撤去し、
- クレート(寝床)+トイレのみ
というシンプルな構成に戻して、再トレーニングをするのも有効です。
ベッドの選び方・置き方を工夫する
ベッド自体も、トイレ失敗に影響します。次のようなポイントを意識して選んでみてください。
- 丸洗いできる・カバーだけでも外して洗えるもの
- クッション性はありつつも、トイレシーツほどフカフカしすぎない質感
- サッと持ち上げて位置を変えられる軽さ
置き場所としては、
- エアコンの風が直接当たらない
- 人の出入りが少なく、落ち着きやすい隅の方
- テレビ・洗濯機など大きな音がしない位置
など、「リラックスしやすい場所」を選ぶと、ベッド=休む場所というイメージが強まりやすくなります。
トイレ用品・衛生環境を安定させる
- トイレシーツは、基本的に同じ種類を使い続ける
- シーツはこまめに交換し、常に清潔な状態をキープする
- ベッドに失敗したときは、ペット用洗剤・消臭スプレーでニオイをしっかり除去する
人には分からない程度のニオイでも、犬にとっては「ここはトイレの場所だ」と思い出させるスイッチになってしまいます。特に失敗したベッドは、洗濯後もニオイが残りやすいので、必要に応じて買い替えも検討しましょう。
ステップで進めるトイレ見直しトレーニング
やみくもに叱るのではなく、「観察 → 環境調整 → 習慣づけ」の3ステップで進めると、変化が見えやすくなります。
ステップ1:観察して「パターン」を見つける
まずは、1週間ほどかけて次のような項目をメモしてみてください。
- おしっこ・うんちをした時間帯
- その直前にしていた行動(寝起き・食後・遊んだ後・来客後など)
- 失敗した場所(ベッドの端・真ん中・決まった方向など)
- 成功したときの環境(静かだったか、誰がいたかなど)
紙のメモでも、スマホのメモアプリでもOKです。「なんとなく多い」ではなく、具体的なパターンが見えてくると、次のステップでどこを変えればいいかが分かりやすくなります。
ステップ2:環境を少しずつ調整する
観察で見えてきた傾向に合わせて、環境を調整していきます。
- 失敗する時間帯の少し前に、あらかじめトイレに連れて行く
- ベッドとトイレの距離を少しずつ離していく
- どうしてもベッド側でしてしまう場合、ベッドを一時的に撤去する
一度にすべて変えてしまうと、柴犬が混乱しやすくなります。「1つ変えて、数日様子を見る」くらいのペースで、少しずつ調整していきましょう。
ステップ3:ルールを決めて、習慣になるまで続ける
「これならうまくいきそう」という配置や流れが見えてきたら、ルールを固定します。
- 起きたら必ずトイレに連れて行く
- ご飯の後・遊んだ後・来客が帰った後など、タイミングを決めて誘導する
- トイレに連れて行くときは「トイレ」「ワンツー」など、毎回同じ声かけを使う
そして、トイレで成功した瞬間に、その場でたっぷり褒める+ごほうびをあげるのがポイントです。成功を「これが正解だよ」と分かりやすく伝えることで、柴犬の中でルールがハッキリしていきます。
うまくいっているかを判断する目安
次のような変化が見えてきたら、トイレ習慣は良い方向に向かっています。
- 1週間単位で見て、ベッドでの失敗回数が減ってきている
- 自分からトイレへ向かう回数が増えてきた
- 叱らなくても、声かけと誘導だけでトイレに行ける場面が増えてきている
途中でうまくいかない日があっても、「全部リセットされた」と考えないことが大切です。行きつ戻りつしながらも、全体として前に進んでいればOKと考えましょう。
年齢・状況別の具体的な対処法
ここからは、柴犬のライフステージや状況ごとに、より具体的な対処のポイントを整理します。
子犬の場合:トイレルールの「再スタート」が鍵
- トイレシーツ以外の布類を、一時的にケージ内から減らす
- ベッドは小さめにして、「寝るスペース」と「トイレスペース」をはっきり分ける
- 失敗しやすい時間帯は、目を離さない・自由に動ける範囲を狭める
- 成功したら、おやつ+声かけで「ここがトイレ」と強く印象づける
子犬は吸収も早いぶん、失敗パターンもすぐに習慣化してしまいます。早めに「正解の形」を繰り返し教えてあげることが重要です。
成犬の場合:生活リズムとストレス要因の見直し
- 散歩のタイミング・回数と、ベッドでの失敗タイミングの関係を見る
- 留守番の前後で必ずトイレに行けるようにする
- 引っ越し・模様替え・家族構成の変化など、環境変化が続いていないか振り返る
- 日々のスキンシップや遊びの時間を増やし、安心感を高める
成犬のトイレ失敗は、「なんとなくのバタバタ」や「ちょっとしたストレス」が積み重なっていることも多いです。生活全体を少し整えてあげるだけで、行動が落ち着いてくることがあります。
シニア犬・持病のある柴犬の場合:無理をさせない工夫を最優先
- トイレの位置をベッドから近づける(ただしベッドと「面」でつなげない)
- 段差や滑りやすい床を減らし、トイレまでの道を歩きやすくする
- 夜間や寒い時期は、トイレ周りを少し暖かくしてあげる
- 少しでも「おかしいな」と感じたら、早めに動物病院へ相談する
年齢を重ねると、「ルールは分かっているのに体がついてこない」という状況も増えてきます。叱るのではなく、できるだけ楽にトイレへ行けるような環境づくりを心がけましょう。
絶対に避けたいNG対応と、代わりにできること
次のような対応は、ベッドでのトイレ失敗を長引かせてしまう原因になりがちです。
感情的に強く叱る
- 「トイレ自体が怖いもの」と感じてしまい、我慢や隠れ排泄につながる
- 飼い主との信頼関係にヒビが入る
代わりにできること:
- 現行犯以外では叱らず、静かに片付ける
- 次回トイレで成功したときに、その場で大げさに褒める
ニオイが残ったまま放置する
- 「ここはトイレの場所」と認識され、同じ場所で繰り返しやすくなる
代わりにできること:
- ペット用洗剤・消臭スプレーを使い、ニオイの痕跡をしっかり消す
- 洗ってもニオイが残るベッドは、思い切って新しくする
「そのうち直るだろう」と長期間放置する
- ベッド=トイレの習慣が固定され、修正に時間がかかる
代わりにできること:
- 一時的にベッドを撤去し、トイレ成功を優先して再学習させる
- 成功が安定してきてから、改めてベッドを導入する
病院へ行った方がいいサイン
次のような様子がある場合は、しつけよりも先に健康チェックを優先してください。
- 急にトイレの失敗が増えた・水を異常に飲むようになった
- おしっこの色が濃い・赤い・ニオイがいつもと違う
- おしっこやうんちをしているときに痛そうに鳴く・震える
- ぐったりして元気がない・食欲が落ちている
これらは、膀胱炎・腎臓病・ホルモンの病気など、体の不調のサインである可能性もあります。気になる変化があるときは、記録したメモや写真・動画を持って、早めに動物病院で相談しましょう。
よくある質問Q&A
Q:一度ベッドで失敗してから、何度も同じ場所でするようになりました。もう直らない?
A:ニオイが残っていると、「ここはトイレ」と認識されやすくなります。まずは徹底した消臭と、一時的なベッド撤去を検討しましょう。その上で、トイレで成功したときにしっかり褒める流れを繰り返せば、多くの場合は少しずつ改善していきます。
Q:叱らないと「してはいけない」と分からない気がして不安です。
A:犬は「叱られた内容」よりも「直前の行動」と「感情の強さ」で学習します。失敗に対して叱るより、成功したときにたっぷり褒める方が、行動の定着は早くなりやすいです。どうしても叱る必要があるときは、現行犯の時だけ短く・低い声で伝える程度にとどめましょう。
Q:ベッドを置かない期間は、どのくらい続ければいいですか?
A:目安としては、「ベッドなしの環境で、ベッド側のエリアに一切失敗しない期間」が2〜4週間続くくらいを意識すると良いでしょう。その後、サイズの小さなベッドから再スタートし、様子を見ながら徐々に元の形へ近づけていきます。
Q:留守番中だけベッドでしてしまいます。どうしたらいい?
A:留守番中は、
- ベッドとトイレを同じスペースに詰め込まない
- トイレスペースを少し広めに取り、ベッドは別の場所に設置する
- 留守番前にしっかりトイレに連れて行く
といった工夫をしてみてください。それでも難しい場合は、ペットカメラなどで様子を確認しながら、タイミングや原因をさらに絞り込むのも一つの方法です。
まとめ:柴犬と一緒に「ベッド=安心して眠る場所」を取り戻そう
柴犬がベッドでトイレをしてしまうのは、
- トイレルールがあいまいなまま習慣化している
- ベッドとトイレの境界が分かりづらい環境になっている
- 留守番やストレス・環境変化の影響を受けている
- シニア期や病気などで、体が思うように動かない
など、さまざまな要因が重なって起きている行動です。
観察 → 環境調整 → 習慣づけの3ステップで少しずつ整えれば、ベッドでのトイレ失敗は必ず減らしていけます。
- 叱るよりも、失敗しにくい環境づくりを優先する
- トイレでできたときに、その場でたっぷり褒める
- 気になる体調の変化があれば、早めに動物病院で相談する
この3つを意識しながら、柴犬と一緒に少しずつ「ベッド=安心して眠れる場所」というイメージを取り戻していきましょう。毎日の小さな工夫の積み重ねが、きっと未来の「失敗しなくなったね」という笑顔につながっていきます。
※本記事の内容は一般的な目安であり、すべての柴犬に必ず当てはまるとは限りません。具体的な症状や不安がある場合は、必ず獣医師や専門家の意見を優先してください。



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