「またベッドでおしっこしてる…」「わざと? それともしつけが失敗した?」
柴犬と暮らしていると、こうした場面に直面してガックリしてしまうことがありますよね。
でも安心してください。多くの場合、柴犬がベッドでトイレをしてしまうのは
性格が悪いからでも、反抗しているからでもなく、
「環境づくり」と「まだ学習の途中」であることがほとんどです。
この記事では、
ベッドでのトイレ失敗の本当の原因から、今日からできる環境づくり、
そして叱らないでやめさせる3ステップまで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
最後まで読めば、「なぜ?」「どうすれば?」というモヤモヤがスッと晴れて、
「うちの子にはこれを試してみよう」と具体的な一歩が見えてきます。
柴犬がベッドでトイレしてしまう主な理由
まずは「なぜベッドなのか?」という根っこの部分を整理しておきましょう。
原因を誤解したまま対策をしてしまうと、がんばっているのに空回り……ということになりかねません。
本来、犬は寝床を汚したくない生き物
犬にはもともと「寝る場所を汚したくない」という本能があります。
それでもベッドでトイレをしてしまうときは、
本能よりも“環境や学習の状態”のほうが強く働いている状態です。
よくあるパターンを整理すると、次のようになります。
- まだトイレの場所がはっきり覚えきれていない(子犬・お迎え直後)
- ベッドとトイレの距離が近すぎて、境界があいまいになっている
- 留守番や就寝時間が長く、我慢できずにベッドでしてしまう
- 去勢・避妊前でマーキングの欲求が強く出ている
- 引っ越しや模様替えでトイレの場所が変わり、混乱している
- 体調不良(膀胱炎・関節の痛みなど)で、トイレまで行く余裕がない
同じ「ベッドでしてしまう」という行動でも、
子犬・成犬・シニア犬・体調不良では、対策のポイントが少しずつ変わってきます。
子犬・お迎え直後の柴犬の場合
子犬やお迎えして日が浅い柴犬は、まだトイレの場所が完全に定着していません。
ベッドの近くにトイレシーツがあったり、スペースが狭すぎたりすると、
「ここもトイレかな?」と勘違いしてしまうことも。
この場合は「失敗」ではなく、「これから覚えていく途中のミス」と捉えると気持ちがラクになります。
叱るよりも、成功しやすい環境づくり+成功をしっかり褒めることが何より大切です。
成犬でのベッドトイレは“マーキング”の場合も
すでにトイレを覚えている成犬が急にベッドでトイレをするようになった場合、
ストレスやマーキングが関係していることがあります。
- 家族が増えた・減ったなどの環境変化
- 他の犬や動物のにおいが家の中に増えた
- 生活リズムの変化(飼い主さんの仕事の時間が変わった等)
このようなときは、「安心できる自分のにおいをつけたい」という気持ちから
ベッドにマーキングしてしまうこともあります。
シニア犬・体調不良が疑われるケース
シニア期の柴犬や、普段と様子が違う場合は、
病気や痛みが隠れている可能性も無視できません。
- トイレの回数が急に増えた/減った
- 排尿時に痛そうにしている、鳴く
- おしっこに血が混じっている・においがいつもと違う
- 足腰が弱り、トイレまで行くのがつらそう
これらに当てはまる場合は、しつけだけで解決しようとせず、
まず動物病院で相談することが大切です。
失敗しにくいベッドとトイレ環境づくり
原因のイメージがつかめてきたら、次は
「そもそも失敗しにくい環境」をつくることから始めましょう。
環境を整えるだけで、トイレ成功率がグッと上がることも少なくありません。
ベッド選びのポイント
柴犬のベッドは、次のポイントを意識して選ぶと失敗対策にも役立ちます。
- 丸洗いできるか・カバーが外せるか(においリセットがしやすい)
- 乾きやすい素材か(洗ってもすぐ使える)
- 丸まって寝たときに少し余裕がある大きさ
- 段差が少なく出入りしやすい形状(子犬・シニア犬でも使いやすい)
ベッドで失敗をしてしまったときは、
ペット用の消臭・除菌スプレー+洗濯で、できるだけにおいを残さないことが大事です。
トイレ周りの見直しチェックリスト
トイレ環境は、次のような点をチェックしてみましょう。
- 柴犬がくるっと方向転換できる広さがあるか
- シーツは厚手タイプや消臭タイプなど、におい・吸収力の高いものを使っているか
- トイレの場所が人の目が届きつつ、落ち着いてできる位置か
- 換気扇の真下やドアの開閉音がうるさい場所など、落ち着けない位置ではないか
トイレにはあえて少しだけ自分のおしっこのにおいを残しておくと、
「ここがトイレだ」と理解しやすくなります。
一方で、ベッドにはにおいを残さないようにすることで
「トイレ」と「寝床」の役割がはっきり分かれていきます。
ベッドとトイレの配置バランス
レイアウトを考えるときの目安は、次の通りです。
- ベッドは静かで人通りの少ない場所に置く
- トイレはベッドからは少し離した位置に置く(見えるけれど近すぎない距離)
- 狭いケージ内では、「寝るゾーン」と「トイレゾーン」を柵やトレーで区切る
- スペースに余裕があれば、ベッドはサークル外・トイレはサークル内と分ける
まずは今のレイアウトを写真に撮ってみて、
「人間から見て便利」よりも「柴犬から見てわかりやすいか」を基準に見直してみましょう。
ベッドでのトイレをやめさせる叱らない3ステップ
環境を整えたら、次は「どう教えていくか」です。
ここでは、叱らなくても実践できる3ステップの流れを紹介します。
ステップ1:数日〜1週間「観察してパターンをつかむ」
いきなり配置を大きく変えたり、しつけを詰め込んだりする前に、
まずは現在の様子を冷静に観察する期間をつくるのがおすすめです。
次のようなことを簡単にメモしてみましょう。
- 失敗しやすい時間帯(起床後・食後・遊びのあと・留守番中など)
- ベッドでする直前のサイン(そわそわ歩く、同じ場所をクンクン嗅ぐ、ぐるぐる回る…)
- 人がいるときか、いないときか
- トイレに誘導したときの反応(嫌がる・すぐする・匂いを嗅ぐだけ など)
この「観察ノート」があるだけで、
どのタイミングでトイレに連れていけばいいのかが見えやすくなります。
ステップ2:タイミングを決めてトイレに誘導する
観察して見つけたパターンをもとに、
あらかじめトイレに連れていくタイミングを決めてしまいましょう。
多くの柴犬で共通しやすいタイミングは、次の通りです。
- 朝起きた直後
- ごはんのあと10〜20分
- 遊び終わり・興奮がおさまったタイミング
- 長めの留守番の前後
- ベッドの上でそわそわし始めたとき
このタイミングになったら、
短い言葉で声をかけてトイレまで一緒に行き、できたらその場でしっかり褒めます。
- 声かけは「トイレいこっか」「シーシーしよっか」など家族で言葉を統一する
- トイレでできたら、数秒以内におやつや撫でるご褒美をあげる
- 失敗したときは大声で叱らず、淡々と片付けて終わりにする
「誘導 → 成功 → すぐ褒める」を繰り返すことで、
柴犬は「ここで排泄するといいことが起こる」と前向きに学んでいきます。
ステップ3:ベッドは「休む場所」として役割をはっきりさせる
最後は、ベッドの役割を絞ることです。
「寝る」「落ち着く」以外の行動は、できるだけベッドの外で行うようにします。
- ベッドの上で激しいおもちゃ遊びをしない(遊び場は床やプレイスペースに)
- フードボウルや給水器はベッドから離して設置する
- おやつも、できればベッド以外の場所であげる
こうすることで、「ベッド=落ち着く」「トイレ=排泄する場所」というイメージがはっきり分かれていきます。
やりがちだけど逆効果なNG行動と、代わりにできること
頑張っているからこそ、ついやってしまいがちな「逆効果の行動」もあります。
代表的なNGと、代わりにできる対応をセットで覚えておきましょう。
NG1:強く叱る/現行犯以外で叱る
ベッドでの失敗を見つけたとき、思わず「なにしてるの!」と叱ってしまうこともありますが、
排泄そのものが悪いことだと誤解させてしまう危険があります。
代わりにできること:
- 現行犯でなければ叱らず淡々と片付けるだけにする
- 成功したときだけ少しオーバーなくらい大げさに褒める
- 家族全員で対応を統一し、誰かだけが厳しく叱る状況をなくす
NG2:水拭きだけ・人間用洗剤だけで掃除する
人間には「もうにおわない」と感じても、
柴犬には残り香がしっかり残っていることがあります。
ベッドにおしっこのにおいが残ったままだと、「ここはトイレ」と学習が進んでしまうことも。
代わりにできること:
- ペット用の消臭・除菌スプレーを使ってしっかりにおいを断つ
- カバーやベッドは可能な限りこまめに洗濯する
- トイレシーツは全部捨てず、成功したにおいを少しだけ新しいシーツへ移す
NG3:トイレの場所を頻繁に変える/レイアウトを一気に変える
「ここならいいかな?」「やっぱりこっち?」と、
トイレの場所をあちこち移動してしまうと、柴犬は「どこでしていいのかわからない」状態に。
代わりにできること:
- トイレの場所は基本的に固定し、どうしても変えるときは段階的に動かす
- レイアウト変更は数日〜1週間ほど様子を見ながら微調整する
- 大きな環境変化(引っ越し・模様替え)の前後は、特にこまめに誘導する
こんなときは動物病院や専門家に相談しよう
柴犬のトイレ失敗は、しつけや環境で良くなるケースが多い一方で、
健康面のサインとして現れていることもあります。
次のような様子があれば、早めに動物病院で相談しましょう。
- おしっこの色がいつもと違う(濃い・赤い・白く濁るなど)
- トイレの回数が急に増えた/ほとんどしなくなった
- 排尿時に痛そうにする・鳴く・何度も姿勢だけとって出ない
- 水を異常に多く飲む、またはほとんど飲まない
- 足腰が弱ってきてトイレまで行くのがしんどそう
また、しつけの進め方や環境づくりに不安があれば、
トレーナーやしつけ教室を頼るのもひとつの方法です。
「うちの子の性格だと、どう進めるのがいいか?」という具体的なアドバイスがもらえます。
まとめ:ベッドは「安心して眠れる場所」に戻せる
柴犬がベッドでトイレをしてしまうと、
「また洗濯か…」「ちゃんと覚えてくれるのかな」と落ち込んでしまいますが、
多くの場合は環境の見直しと、コツを押さえたトレーニングで必ず改善していきます。
ポイントをおさらいすると、次の3つです。
- 原因を知る:年齢・状況・体調によって理由を整理する
- 環境を整える:洗いやすいベッド・適切なトイレ・分かりやすい配置にする
- 叱らずに成功体験を増やす:観察 → 誘導 → その場でしっかり褒める
一度で完璧を目指す必要はありません。
「昨日より少し失敗が減った」「今日はちゃんとトイレでできた」など、
小さな変化に目を向けていくと、飼い主さん自身の気持ちもグッと楽になります。
柴犬にとっても、飼い主さんにとっても、
ベッドが「安心して眠れる場所」として戻ってくるように、
できることから少しずつ試してみてくださいね。
※本記事の内容は、一般的な飼育・しつけの考え方にもとづく情報です。
個々の柴犬の性格や健康状態によって最適な方法は変わりますので、
気になる症状がある場合は、必ず獣医師等の専門家にご相談ください。



コメント