「柴犬、かわいい。でも…言うこと聞かない」「呼んでも来ない」「甘噛みが痛い」「散歩で引っ張る」「急にガウッとする」。
柴犬は賢いからこそ、“教え方がズレると学習も速い”犬種です。逆に言えば、ポイントさえ押さえれば、しつけはちゃんと前に進みます。
この記事では、初心者でも再現しやすいように、柴犬の気質に合わせた「家庭で効く手順」を、トイレ・甘噛み・吠え・散歩の引っ張り・呼び戻しまでまとめました。目指すのは完璧ではなく、“暮らしがラクになる状態”です。
柴犬のしつけ方法の全体像をつかもう
柴犬のしつけの基本は、たった4つの合言葉で整理できます。
- 早めに:問題が固まる前に“習慣”として入れる
- 一貫して:家族のルールと言葉をブレさせない
- 短く楽しく:集中が切れる前に終える
- できた瞬間をほめる:叱るより“成功”を増やす
柴犬は日本原産で、自立心が強く、警戒心もほどよく持つ犬種です。その気質は魅力ですが、しつけ面では「ベタベタ褒めれば全部OK」でも「強く叱れば従う」でもないことが多いです。
柴犬のしつけの目的は「芸を仕込むこと」ではなく、人と犬が安心して暮らせるルールを作ること。おすわりや待ては、そのための“道具”です。生活で困る行動(トイレ・甘噛み・無駄吠え・引っ張り)を、予防→小さく修正→定着の順に整えていきます。
しつけは短期決戦ではありません。特に柴犬は、成長とともに「警戒心が強まる時期」「自我が出る時期(反抗期っぽい時期)」があり、うまくいく日・いかない日が普通です。比べるのは他の犬ではなく、昨日の愛犬。昨日より1%よくなれば勝ちです。
まずは心構えとして、これだけ覚えてください。
「うまくいかない=性格が悪い」ではなく、「環境か手順が合っていない」だけ。
柴犬のしつけを始める前に準備しておきたいこと
柴犬のしつけがうまくいくかどうかは、練習テクより先に「準備の質」で決まります。ここを整えるだけで、同じ練習でも成功率が上がります。
安心できる「基地」を作る:環境づくり
柴犬には、落ち着ける自分のスペース(基地)が必要です。興奮しやすい子、来客や物音に敏感な子ほど、基地があるだけで暮らしが安定します。
ポイントは「自由にさせすぎない」こと。最初は行動範囲を区切ったほうが、トイレも甘噛みも早く整います。
| カテゴリ | 具体例 | しつけでの役割 |
|---|---|---|
| 基地 | サークル/クレート/ベッド | 落ち着く場所・クールダウン・留守番の土台 |
| トイレ | トイレトレー/シーツ/消臭剤 | 成功しやすい導線づくり、失敗後の匂い対策 |
| ごほうび | 小さくちぎれるおやつ/フード | 「できた瞬間」を逃さず強化する |
| 安全 | 首輪orハーネス/リード/迷子札 | 散歩・来客・病院での事故防止 |
| 発散 | 引っ張りっこ/噛むおもちゃ/知育トイ | 噛みたい欲求の出口、ストレス低減 |
家族で「ルール」と「言葉」を統一する
柴犬が混乱する最大要因は、家族のルールがバラバラなことです。柴犬は空気を読むというより、「この人には通る」「この人には通らない」を学習していきます。
最初に決めるべきは、次の3つです。
- 許可すること/しないこと(ソファ、拾い食い、飛びつき等)
- 合図の言葉(おすわり、待て、おいで、ハウス等)
- 困ったときの対応(吠えた・噛んだ・暴れた時にどうするか)
健康チェックも忘れずに
「急に噛む」「触られるのを嫌がる」「怒りっぽくなった」などがある場合、しつけ以前に痛み・不調が隠れていることがあります。しつけが効きにくいときほど、体の違和感は見落としがちです。
気になる変化があるときは、早めに動物病院へ。健康が整うだけで、行動が落ち着くケースもあります(検査内容や費用は病院によって異なるため、最新情報は各病院でご確認ください)。
柴犬のしつけ方法:基本の手順とコツ
柴犬のしつけを成功させるコツは、「小さく分ける → 成功させる → すぐ褒める」を、毎日ちょっとずつ回すことです。ここでは家庭で再現しやすい形に落とし込みます。
まず押さえる「教え方の型」
柴犬に限らず、犬は「言葉」よりもタイミングで学びます。コツは次の順番。
- 先に誘導(おやつ・動線・環境で成功させる)
- できた瞬間に褒める(0.5秒以内が理想)
- 合図の言葉は後から乗せる(動きが安定してから)
「コマンドを言ってから動かす」より、最初は「動けた瞬間を褒める」ほうが、柴犬はスッと伸びます。
基本コマンドを教えるときのポイント
柴犬で特に効くのは「ハウス」です。興奮・吠え・来客・留守番のベースになり、落ち着くスイッチを作れます。
トイレトレーニングのコツ
トイレは「叱るほど悪化しやすい」代表です。成功を増やすほど早く定着します。コツはタイミング・範囲・匂いの3つ。
- タイミング:起床直後/遊んだ後/食後/水を飲んだ後
- 範囲:最初はサークル内など“失敗しにくいサイズ”にする
- 匂い:成功場所の匂いを少し残し、失敗は完全消臭する
失敗したときは無言で片付けて、成功しやすいタイミングに戻すだけでOKです。叱ると「見られない場所で排泄する」方向に学習しやすくなります。
甘噛み対策の基本
甘噛みは「悪い子だから」ではなく、噛みたい欲求・歯のムズムズ・遊び方の学習不足で起きやすい行動です。対策の基本はシンプルに3つ。
- 手で遊ばない(興奮の矛先が手に固定される)
- 噛んだら遊びを止める(10秒フリーズ or その場を離れる)
- 噛んでいい物へ差し替える(噛む欲求の出口を用意)
ここで大事なのは“反応しすぎない”こと。大声で「痛い!」と騒ぐと、柴犬によっては「これ面白い」になってしまいます。淡々と止めて、噛んでいいものに切り替え、そこで褒めます。
無駄吠えに効く「原因別」の考え方
柴犬の吠えは、ひとまとめにすると迷子になります。まず原因を分けると、対策が一気にラクになります。
| 吠えのタイプ | よくある場面 | 家庭での第一手 |
|---|---|---|
| 警戒吠え | インターホン、物音、窓の外 | 刺激を減らす(目隠し/距離)+「ハウス」で切り替え |
| 要求吠え | ごはん、散歩、遊びを催促 | 吠えている間は反応しない。静かな瞬間にだけ要求を叶える |
| 興奮吠え | 帰宅時、来客時 | 落ち着いたら褒める。先にハウスでクールダウンを作る |
特にやりがちなNGは、吠えた瞬間に「おやつで黙らせる」こと。これを続けると、柴犬は「吠える→おやつ」を学び、吠えが強化されます。褒めるのは“静かな瞬間”です。
散歩中の引っ張り対策
引っ張りは「力で勝つ」ではなく、「進める条件」を教えるのが正解です。基本は引っ張ったら止まる/緩んだら進むだけ。
ただし、ここで挫折しやすい理由が2つあります。
- 最初は全然進まない(=学習が始まっている証拠)
- 刺激が強すぎる場所で始めている(匂い・犬・人が多い)
最初は人や犬が少ない場所・時間に変えるだけで成功率が上がります。さらに効果が出るのが「進行方向を変える」こと。引っ張ったら、静かにUターン。柴犬は“自分が引っ張ると目的地が遠のく”と理解しやすくなります。
練習時間と頻度の目安
- 1回は3〜5分で切り上げる(集中が切れる前)
- 1日合計10〜20分で十分(回数を分ける)
- 成功で終わる(最後はできる簡単なことをやって締める)
- できた瞬間に褒められているか(タイミングが最重要)
やることを増やすより、今週は「ハウス」だけなど、テーマを絞るほうが伸びます。柴犬は“積み上げ型”で強くなります。
柴犬のしつけでよくある失敗と避け方
柴犬のしつけでつまずきやすいのは、次の3つです。
- 叱りすぎ(信頼が落ちて逆効果になりやすい)
- ルールのブレ(“人を選んでやる/やらない”を学ぶ)
- 早く結果を求めすぎ(うまくいかない日で全部崩れる)
感情的に叱りすぎない
大声で怒鳴る、叩く、マズルをつかむなどの体罰は避けましょう。恐怖で止まっているように見えても、柴犬の場合は警戒心や攻撃性が上がる方向に働くことがあります。
危険行動を止めるときは、短く「ダメ」よりも、実務的には環境を変えるほうが成功します(距離を取る/ハウスへ誘導/リードで離す)。「やめさせた後に何をさせるか」までセットにすると、柴犬は迷いません。
よくあるNGパターンチェックリスト
- 吠えたら、とりあえずおやつで黙らせる
- 家族によって「ソファOK/NG」が違う
- できないときに、長時間練習して疲れさせる
- 噛まれたときに手を振り回してしまう(興奮が上がる)
- 呼んで来なかった時に、追いかけて捕まえる(逃げが強化される)
立て直しは「原因」から逆算する
どうしても難しい場合は、ドッグトレーナーやしつけ教室に相談するのも有効です。特に「噛みが強い」「本気噛みに近い」「家族に恐怖が出ている」場合は、早めに専門家と一緒に進めたほうが安全です(料金や方針は施設ごとに異なるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください)。
まとめ:柴犬のしつけ方法で大切にしたいポイント
柴犬のしつけは、気合いよりも設計で決まります。
- 早めに・一貫して・短く楽しく
- 叱るより「成功」を増やす
- 基地(ハウス)を作ると生活が整う
- 吠え・噛み・引っ張りは原因別に対策
- 完璧より“暮らしがラク”を目標にする
今日からできる最小の一歩は、「ハウス(クレート)を好きにさせる」か、「呼び戻しは叱る時に使わない」のどちらかです。小さな成功を積み重ねるほど、柴犬はちゃんと応えてくれます。
最終更新:2025-12-15
FAQ:柴犬のしつけ方法でよくある質問
柴犬は頑固でしつけが難しいって本当?
柴犬は自立心が強く、納得しないと動かない場面があるため「頑固」に見えます。ただし、学習能力は高いので、短い練習で成功を増やす方法が合うと伸びやすいです。
叱るのはダメ?どう止めればいい?
危険行動を止める必要はありますが、感情的に叱るほど逆効果になりやすいです。基本は距離を取る/ハウスへ誘導/刺激を減らすなど「環境で止める」発想が安全で成功しやすいです。
甘噛みが痛い。いつまで続く?
子犬期は歯の生え変わりもあり甘噛みが出やすいです。手で遊ばない・噛んだら中断・おもちゃへ差し替えを一貫して続けると落ち着きやすいです。噛みが強い場合は早めに専門家へ相談しましょう。
吠えるときにおやつで黙らせるのはアリ?
吠えた瞬間におやつを出すと「吠えると良いことが起きる」と学習してしまうことがあります。褒めるのは静かな瞬間です。吠えの原因(警戒/要求/興奮)を分けて対策すると改善しやすくなります。
引っ張りが強すぎて散歩がつらい
引っ張りは「進める条件」を教えるのが基本です。引っ張ったら止まる/緩んだら進むに加え、刺激が少ない場所から始めるだけで成功率が上がります。無理に力で勝とうとすると悪化しやすいので注意してください。



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