旅行先で、柴犬がクッションを噛みちぎったり、ケージをガリガリかじったり…。帰ってから「なんであんなことを…」と落ち込む飼い主さんは少なくありません。
でも結論から言うと、多くの場合それは“性格の悪さ”ではなく、環境変化に対する不安・ストレスの表現です。柴犬は警戒心が強く、自分のペースが崩れるのが苦手。旅行は「音・匂い・人・移動・留守番」が一気に重なるため、破壊行動が出やすい条件が揃ってしまいます。
この記事では、叱って終わりにしないために、原因の切り分け→旅行前の仕込み→移動→宿での環境作り→起きてしまった時の対処まで、読者がそのまま実行できる形に落とし込みます。
まず全体像をつかむ|柴犬が旅行中に物を壊す本当の理由

旅行中の破壊行動は、単なる「いたずら」ではなく、多くが不安・ストレス・欲求不満のサインです。特に柴犬は「初めての場所」「知らない人」「物音」「匂い」に敏感で、落ち着くまでに時間がかかりやすい犬種傾向があります。
大事なのは「やった行動」よりも、直前に何があったかです。破壊行動の原因は1つではなく、複数が重なって起きることが多いです。
原因はだいたいこの6分類に入る
- 分離不安・留守番不安:飼い主が見えなくなると焦り、ドア・ケージ・窓付近を破壊しやすい
- 環境ストレス:物音、他の犬、人の出入り、匂い、床の感触、照明などが刺激になる
- 運動不足:移動で散歩が減り、エネルギーが余って噛む・掘るで発散
- トイレ問題:我慢・失敗・トイレ場所が分からない不安で落ち着かない
- 体調不良:酔い、暑さ寒さ、痛み、かゆみ、胃腸不調などがイライラを増幅
- 学習(クセ化):破壊すると飼い主が反応する/退屈が紛れる、で繰り返す
3つのメモで「原因の当たり」をつける
次の3点をメモするだけで、対策が一気に当てやすくなります。
- いつ起きた?(到着直後/食事中の留守番/夜間/出発前の車内など)
- 何を壊した?(布団→安心欲求、ドア→外に出たい、ケージ→閉じ込めストレス…など傾向が出やすい)
- その前に何があった?(長時間移動、散歩なし、他犬と遭遇、雷、飼い主がイライラ…)
この「原因の当たり」がつくと、叱るよりも再発防止の手順に頭が切り替わり、旅行が楽になります。
旅行前に準備しておきたいこと|持ち物だけでは不十分

旅行の破壊行動対策で一番効くのは、実は当日ではなく「旅行前の仕込み」です。持ち物だけ整えても、柴犬の不安が減らなければ破壊行動は起きます。
準備は「環境」「行動」「健康」の3本柱で考える
- 環境:宿・移動のルール確認、部屋の危険物対策、落ち着ける基地(クレート)
- 行動:クレート慣れ、短時間留守番、噛んで良いものへの誘導
- 健康:酔い対策、暑さ寒さ、常備薬、食事の崩れを最小化
移動手段と宿の「犬OK条件」を必ずチェック
「犬OK」と書かれていても、実際の条件は施設・会社ごとに違います。ここが曖昧なまま出発すると、現地で制限が増えてストレスが跳ね上がり、破壊行動の引き金になります。
| 項目 | 主な確認ポイント | 破壊行動との関係 |
|---|---|---|
| 健康状態 | ワクチン・ノミダニ・持病・酔いやすさ | 体調不良は不安とイライラを増幅 |
| 移動手段 | サイズ制限・ケージ必須・料金・予約方法 | 窮屈さや揺れがストレス源に |
| 宿泊先 | 犬種/体重/頭数・留守番可否・備品・弁償ルール | 留守番時の破壊リスクに直結 |
| 慣らし | クレート・マテ・トイレ・ハンドリング | 不安時に自制できるかが決まる |
公共交通機関を利用する場合の注意点
公共交通機関は条件が変わることもあるため、必ず利用予定の公式情報で確認してください。ポイントは「サイズ」「完全収容」「追加料金」「乗車位置」「混雑回避」です。
- 鉄道:規定サイズ以内のケージに完全に収容、手回り品扱い・料金など条件があることが多い
- 飛行機:客室持ち込みは条件が厳しく、貨物室扱いになるケースが多い。便や季節で制限が変わる場合も
- バス:ペット不可の会社も多く、可でも条件が細かいことがある
ここで無理をすると、柴犬が恐怖や圧迫感から暴れる→ケージをかじる、という流れになりやすいです。
車移動で破壊行動を防ぐポイント
車の破壊(シート・シートベルト噛み)は「退屈」「不安」「酔い」「暑さ」が混ざると起きやすいです。対策はシンプルで、安全固定+事前慣らし+休憩設計です。
- 出発の1〜2週間前から、短時間ドライブでクレートに慣らす
- クレート内に普段の毛布を入れ、“匂いの安心”を持ち込む
- クレートやドライブボックスは必ず固定し、急ブレーキ対策をする
- 噛みたい子は「噛んで良いもの(丈夫なおもちゃ等)」を最初から入れておく
宿泊先選びでチェックすべき項目
宿で壊れやすいのは「留守番中」「到着直後」「夜」です。事前に次を確認しておくと、事故が減ります。
- 柴犬(中型)受け入れ可否と頭数制限
- 室内でフリーにできる範囲(ベッド・ソファの可否)
- ケージ/サークル貸出の有無とサイズ(柴犬が回れるか)
- 食事や入浴中、犬を部屋に残せるか(時間・条件)
- 破損時の弁償ルール(床・壁・寝具・備品)
旅行前にやっておくと成功率が跳ねる「3つの練習」
ここが120点の肝です。破壊行動が出やすい柴犬ほど、旅行当日ではなく旅行前に“練習で勝つ”のが最短ルートです。
この3つができると、旅行中の破壊行動は「ゼロ」とは言い切れなくても、大きく減らせます。
柴犬と旅行する手順とコツ|ストレスを小分けにする3ステップ
旅行は「計画→移動→宿泊」でストレスの種類が変わります。だから対策も、まとめて頑張るのではなく小分けにします。
ステップ1:情報収集・計画
- 初めてなら「近場・1泊・観光詰め込みすぎない」が鉄則
- 公共交通は規定サイズと条件を公式で確認(ケージ必須など)
- 車移動はSA/PAの休憩ポイントを先に決める(トイレと水)
- 宿は「犬連れ専用」か「一部犬OK」かを明確にし、条件に合うか確認
ステップ2:比較・問い合わせ
破壊行動が心配な場合は、ここで手を抜かないのがコツです。
- 候補を2〜3つに絞り、次で比較する
- 移動時間と休憩の取りやすさ
- 部屋の広さ、床材、犬用設備(サークル等)
- 留守番OKの条件(時間・ケージ必須など)
- 破損時のルール
- 不明点は事前に問い合わせる
- 「柴犬で警戒心が強め」「噛み癖が少しある」など性格も共有
- 部屋のレイアウト(壊れやすい備品があるか)も聞くと事故が減る
ステップ3:予約確定・事前準備
- 犬種・体重・頭数・ワクチンなど必要情報は正確に
- 必要に応じて動物病院で健康相談(酔い止め、持病、常備薬など)
- 自宅でクレート・留守番練習を継続
- 持ち物は「安心」「衛生」「安全」「破壊予防」の4カテゴリで準備
持ち物は“破壊対策セット”を別枠で作る
持ち物は多すぎても管理が大変なので、「破壊対策セット」を最小構成で作ると便利です。
- 匂いの安心:いつもの毛布、普段のベッドカバー
- 噛んでOK:丈夫なおもちゃ、噛むガム(誤飲しないサイズ)
- 環境整備:消臭袋、トイレシート、ペット用ウェット、粘着クリーナー
- 安全:予備リード、予備首輪、迷子札、ライト
移動当日のコツ|「出発前の散歩」が最大の予防策
移動当日は、出発前に軽く散歩してエネルギーを落とし、車内・車外の刺激に耐えやすい状態を作ります。
- 休憩の目安:1〜2時間に1回(トイレ・水・短い散歩)
- 夏:車内温度は急上昇しやすい。短時間でも犬だけを残さない
- 冬:足元が冷える。毛布と風の当たらない配置を
- 雨・雪:移動時間が延びる前提で、スケジュールに余白を作る
宿に着いた最初の10分が勝負
到着直後にフリーにすると、興奮と探索が暴走しやすいです。最初は“落ち着く儀式”を作ります。
- リードをつけたまま部屋を一周し、匂い嗅ぎをさせる
- 壊されると困るもの(コード、ゴミ箱、スリッパ等)を先に避難
- クレートを設置し、毛布を入れて「ここが基地」を作る
- おやつを少しだけ使い、クレートに入る→出るを軽く成功させる
もし壊し始めたら|叱るより「止め方」と「戻し方」
破壊行動が始まった瞬間、飼い主は焦ります。でも、ここで大声で叱ると、柴犬は「環境が怖い」「飼い主も怖い」と学習し、次の破壊につながることがあります。
その場でやる“安全な止め方”
- まずは危険を避ける(誤飲しそうな物は即回収)
- 短く低い声で「ダメ」「ストップ」など一語で止める(長説教は逆効果)
- すぐに代替行動へ誘導する(おもちゃを渡す/クレートへ誘導)
- 落ち着いたら褒める(静かに、低テンションで)
「何かを壊した後」にやってはいけないこと
- 時間が経ってから現場を見せて叱る(犬は因果がつながりにくい)
- 怒鳴る・叩く・追いかける(恐怖で悪化することがある)
- 興奮状態のままフリーにし続ける(次の破壊が起きやすい)
落ち着かせる“最短ルート”は「基地に戻す」
旅行中に頼れるのは「いつもと同じルール」です。クレートが使えるなら、クレートに戻す→安心アイテム→静かな時間が再発防止に直結します。
よくある失敗の避け方|柴犬の破壊行動を招くNGパターン
破壊行動が起きる旅行には、共通する落とし穴があります。ここを避けるだけでも成功率は上がります。
いきなり長距離・長時間の旅行をする
経験値がないまま長距離は、柴犬にとって刺激が多すぎます。まずは日帰り、次に近場1泊…と段階を踏むのが安全です。
クレートや留守番に慣れていない
旅行先で急にクレート留守番は難易度が高いです。旅行前に「短時間でいいので」練習を積むのが最重要です。
宿のルールや設備をよく読んでいない
現地で制限が増えると、飼い主の行動が詰みやすくなります(食事・入浴のたびに犬同伴など)。結果的に犬も飼い主も疲れて破壊が出やすくなります。
運動不足・トイレ我慢が続いている
我慢が続くと、到着後に一気に爆発しやすいです。休憩をケチらないのが結局いちばん楽です。
叱り方を間違えてしまう
破壊=不安サインの時に叱ると、不安が上乗せされることがあります。「止める→代替→褒める」に切り替えると改善しやすいです。
季節・天候を甘く見ている
暑さ寒さ、台風・大雪などで移動が延びると、体調もメンタルも崩れやすくなります。日程に余白を作り、危険なら引く判断も大切です。
旅行成功の最終チェック|出発前に1分で確認するリスト
まとめ|柴犬が安心して旅行できる環境づくりを
柴犬の旅行中の破壊行動は、「性格の問題」だけで片づけられません。環境の変化、準備不足、健康状態、季節要因が重なることで起きやすくなります。
対策の要点は次の3つです。
- 原因を切り分ける(いつ・何を・その前は?をメモ)
- 旅行前に仕込む(クレート慣れ・留守番練習・噛んでOK誘導)
- 当日は環境を整える(出発前の散歩、休憩、宿の最初の10分)
「うちの柴犬にとって無理のない距離・季節・スケジュールか」「不安になった時に戻れる基地があるか」。この2つを物差しに計画を組み立てると、旅行の失敗が減り、家族全員が楽しめる確率が上がります。
最終更新:2025-12-22
FAQ|柴犬の旅行と破壊行動に関するよくある質問
※一般的な傾向をまとめたものであり、具体的な条件や料金、医療内容などは地域や施設によって異なります。最新情報は必ず公式窓口で確認してください。
旅行中に物を壊したら、弁償はどうなりますか?
宿や交通機関の規約によります。寝具・壁・備品など、破損対象や請求範囲が異なるため、予約前に「破損時のルール」を必ず確認し、必要ならメール等で記録を残すと安心です。
叱ったほうがいいですか?
危険を止めるために短く制止するのはOKですが、怒鳴ったり後から叱ったりすると、不安が増えて悪化することがあります。「止める→代替行動へ→落ち着いたら褒める」の流れが安全です。
クレートが嫌いな子でも旅行できますか?
可能です。ただし当日いきなりは難しいので、旅行前に「扉を閉めない→数秒→数分」と段階的に慣らすのが重要です。クレートを“安心基地”にできると、破壊行動は減りやすくなります。
車でシートベルトを噛むのをやめさせたいです
噛む原因が「退屈」「不安」「酔い」によることが多いので、出発前の散歩、休憩設計、噛んでOKの代替物の用意が有効です。安全のため、犬の固定方法(クレート固定など)も見直しましょう。
旅行先で留守番させるのが不安です
留守番が必要なら、宿の条件(留守番可否・ケージ必須など)を確認したうえで、事前に自宅で短時間留守番練習をしておくのが最も効果的です。現地では「基地(クレート)+匂いの安心(毛布)」が鍵になります。



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